今年のインカレ女子の最大のトピックは東京医療保健大の王座返り咲きだが、立教大の創部初のベスト8進出も特筆すべき出来事だ。立教大は関東2部にもかかわらず、夏の新人インカレで準優勝と躍進し、オータムリーグでは念願の1部昇格も果たしてみせた。
3×3のU18ワールドカップ銀メダルという実績を持つ阿部友愛を筆頭に、有望株の1年生が加わったことは躍進の要因の一つだろうが、主力はやはり上級生が占める。その中でも、3×3のU21日本代表に選ばれた田平真弥はキャプテンとして、また得点源としてチームを牽引。ベスト8進出をかけた12月11日の試合は、昨年度ベスト4の山梨学院大を相手に前半こそ本来の力を発揮できなかったものの、第3クォーターに持ち前の得点力を披露。第4クォーター残り1分50秒にも決定的な3ポイントを沈め、タイムアップの瞬間は喜びを全身で表現した。

「前半はあまり良くなかったです。リバウンドが自分の取り柄だと思ってるので、とにかくリバウンドには入ろうとずっと心がけてたのは良かったんですけど、あまり得点につなげることができなくて。ただ、後半はもっとアタックしたり、3ポイントも消極的にならずに打っていこうと思っていたので、後半のパフォーマンスは前半に比べると良かったと思います」
第1クォーターに17-7と先手を取ったが、前半の20分間はこのコメントの通り、田平の活躍はさほど目立たず、第2クォーターに山梨学院大に点差を縮められた。それもあって第3クォーターはスイッチが入ったのかと思われたが、本人は「無になれたのが一番大きい」とただひたむきに目の前のプレーに臨むことができたという。
「何も考えず、集中してプレーできたというのがつながったと思います。やっぱりキャプテンとしてチームを引っ張っていかなきゃいけない存在で、プレーで引っ張りたい、貢献しなきゃいけないという気持ちが強かったので、それを出すことができたのかなと思います」
翌日、チームとして掲げていたベスト4進出がかかった準々決勝。その第1クォーターの10分間、立教大は実に8本もの3ポイントを炸裂させ、32-19と会心のスタートを切った。チームに火をつけたのは、8本の3ポイントのうち4本を1人で稼いだ田平だった。
「ベスト4という未知の世界をかけた試合だったので、頑張ろうという話ももちろんしたんですけど、やっぱり出だしから楽しんで立教らしくいこうって感じで入りました。それが他の選手にも伝わって、良い出だしで入れたんじゃないかなって思います」

しかし、相手はインカレベスト4常連の筑波大。高さもある相手がディフェンスの強度を上げると、立教大は徐々に攻め手を失っていく。第2クォーターだけで31失点を喫し、逆転を許した立教大は第3クォーターで9得点に抑えこまれ、最後は71-87で敗れた。
試合後、田平は悔しさをにじませながらも、「立教大学で4年間バスケができたことは幸せだった」と自身の道のりを振り返る。父の母校でもある立教大は、小さい頃にその父に連れられてキャンパスを訪れて以来、憧れの場所だった。そこにバスケットで進学することができた上、入学前年度に初めてインカレに出場したチームを4年間でベスト8まで押し上げることもできた。それはもちろん田平自身の努力の賜物に他ならず、本人は「自分はただ単に運が良かった」と控えめな気持ちもありつつ、「でも父親には『運も実力のうちだから』って言ってもらえて、そこは誇らしげに思ってます(笑)」と率直に喜んでいる。











