3×3.EXE PREMIERの新しいシーズンが始まった。4月26日、栃木県宇都宮市・二荒山神社を舞台に3×3 WORLD TOUR UTSUNOMIYA OPENERが開催された裏で、同じ宇都宮市内にあるライトキューブ宇都宮では女子カテゴリーの開幕ラウンドが開催。今年の女子カテゴリーは6チームから9チームに拡大され、この日は全チームが集結して予選グループの9試合が行われた。
新規参入の3チームのうち、ECHAKE-NA NOTO.EXEはその名にも入っている石川県能登地方を拠点に活動するチーム。1試合目は同じく新規参入ながら吉武忍ら経験値の高い選手を集めたUENOHARA SUNRISE.EXEに16-21で敗れたが、2試合目のSANJO BEATERS.EXE戦は粘り強く戦い、15-13で初勝利を挙げた。
「チーム立ち上げを機に集まったメンバーで、3×3の経験もない子が多い中で、開幕に向けて急ピッチでチームを作ってきたところがあるんですけど、私たちは復興を目的に立ち上げたチームとして、見てくださる方に勇気を与えられるようなプレーをしよう、ルーズボールとかリバウンドとかみんなができることを精一杯やろうと言ってやってきました。今までやってきたことが通用した部分もあるし、まだまだ足りないところもあって、良い収穫があった開幕戦でした。こういう場所も初めてだったので、最初はみんなガチガチに緊張していて、私は私で新しいチームを率いて緊張してた部分もあったんですけど、試合が始まるといつも通りのプレーはできてたんじゃないかなと思います」
チームを引っ張る池田智美は、かつてWリーグ・トヨタ紡織で7シーズンプレー。2017-18シーズンを最後に引退した後、直近の2度の3×3日本選手権には他チームの一員として出場しているが、今回はチーム設立に大きく関わり、本格的に第一線復帰となった。そのコメントにもある通り、チームは震災からの復興のために作られた。甚大な被害を受けた能登半島は、まさに池田の生まれ故郷だ。
「以前から3×3のチームに入らないかという声をいただいてはいたんですけど、プロでやっていくというのは覚悟も要ることなので、なかなかそこに時間を割けないと思って踏みきれずにいたんです。ただ、地元の復興というのはやっぱり私にとってはすごく大きくて、輪島市出身の私がやることに意味があるかなと思って、覚悟を決めたというところがあるんです。3×3の試合を見に行ったこともありますし、またああいう観衆の中でプレーしたいというのはどこか思っていたところもあったので、不安もありましたけど今この場に立てることを楽しんでます」
Wリーグ引退後も愛知県に住み続けている一方で、チームメートは石川県周辺に在住。池田は、週1回の練習のために石川県に通う生活を送っている。心身両面への負担も小さくないはずだが、「地元に帰るのは嬉しいことだし、みんなで集まって練習するのも楽しいので、週末を迎えるのがすごく楽しみ」と再びバスケットと真摯に向き合う日々に充実感があるようだ。もちろんそこには、「引退してからかなり時間が空いたというのもあるし、年齢を重ねたというのもあるんですけど、自分の経験とかメンタル的な部分でみんなを支えなきゃいけない」というリーダーとしての責任感もある。