ポイントガードからハンドラーへ変わり、アグレッシブさを体現
Wリーグ フューチャーはクライマックスを迎え、19勝3敗で並ぶ三菱電機コアラーズと東京羽田ヴィッキーズによる首位攻防戦。東京羽田のホームである大田区総合体育館に2月22日(土)は2千人、翌23日(日)はさらに多い3千人を超える超満員の中、手に汗握る熱戦が繰り広げられた。土曜ゲームは残り5秒から逆転に次ぐ逆転の末、東京羽田が68-67で勝利し、首位が入れ替わる。翌日、三菱電機が勝てば直接対決3勝2敗で上回り、東京羽田が勝てば優勝が決まる。
「今日もなんで勝ったか覚えていないほど手詰まりだった。オフェンスが全然うまくいかなかったところで、洪(潤夏)らベンチメンバーが打開してくれた」という東京羽田の萩原美樹子ヘッドコーチが安堵する結果となった。86-76で三菱電機に2連勝し、2ゲーム差をつけた東京羽田が最終戦を待たずにフューチャー初代チャンピオンに輝いた。
洪、イベ エスター チカンソがともに16点、岡田真那美が13点とベンチメンバーの活躍に、萩原ヘッドコーチは「本当に今年は誰かが当たる。それが、今日は誰なんだろうとひたすら待って、最後はそのメンバーで行くという感じだった」と全員バスケを体現した東京羽田が来シーズンのプレミア昇格を決めた。代わって、プレミア8位の日立ハイテク クーガーズがフューチャーへ降格となる。
この結果により三菱電機の2位が確定し、入替戦へ向かう。高田紘久ヘッドコーチは「オフェンスもディフェンスも攻撃的に、アグレッシブにどんどん足を動かしていく」三菱電機のスタイルを、2シーズンかけて浸透させてきた。目指すバスケが遂行できれば、土曜ゲームの第3クォーターのように、13点開くほどの力を発揮。2戦目も同様にリードする時間帯はあったが、「相手がフィジカルにコンタクトしてきた時にコントロールできなくなり、このような結果になってしまった」と課題が残った。これも若いチームにとって、ステップアップするために必要な経験である。
今シーズンは、23歳の藤田和がすべての試合で先発ポイントガードを任されてきた。「自分たちのスタイルを遂行するのがコアラーズのバスケ。相手に合わせるのではなく、自分たちのバスケをすれば点差も開いていく」と手応えを感じはじめている。しかし、大一番で勝利をつかみ損ねた原因をこのように振り返った。
「オープンショットを打てており、それが入っているときは流れも良いです。でも、シュートが入らずにリバウンドを取られてしまうと、ディフェンスからアグレッシブにプレーするスタイルなのに受け身になってしまい、そこから相手の勢いにのまれて点差を詰められ、逆転されてしまいました」
高田ヘッドコーチの下、藤田はアシストに特化したポイントガードからハンドラーへ役割が変わり、「自分からプレーを作るようになりました」とアグレッシブなチームスタイルに染まってきた。持ち前のアシストは平均5本でフューチャーのランキングで3位(2月23日現在)。東京羽田との2連戦は12本、13本と連日二桁のアシストを決めた。さらに日曜ゲームは14点を決め、ダブルダブルをマーク。相手がパスを警戒しているからこそ、状況に応じて攻める意識を高め、平均6点(2月23日現在)はキャリアハイを更新中だ。