はたしてこれは運命と呼んで良いものなのか……。ウインターカップ女子1回戦の最大の注目カードは、間違いなく桜花学園高と聖和学園高だった。
地元・宮城県仙台市でひたむきにバスケットに打ち込んできた双子の姉妹は、高校進学に際して別々の道を選んだ。妹・阿部友愛が地元に残る決断をしたのに対し、姉・心愛は仙台を離れ、高校バスケット界の歴史に燦然と輝く古豪の門を叩いた。2人はともにU16日本代表に選ばれるなど、遠く離れていても足並みを揃えるかのように着実に成長してきたが、全国大会常連の強豪校でプレーしていながら、直接対決はU18トップリーグで1回実現しただけ。インターハイとウインターカップで両校が対戦したことは一度もなかった。
そのツインズ対決が、高校生活の最後に訪れた。まさか1回戦で激突することになるとは、誰も予想していなかっただろう。両校が勝ち上がり、決勝で戦うのが一番の理想ではあるが、最も確実なのは初戦で対戦すること。そういう意味では、この組み合わせには感謝しなければならないのかもしれない。しかし、必ずどちらかが相手に引導を渡すことになるという、残酷な現実も待っているのだ。
いざ試合が始まると、4番ポジションの友愛が3番ポジションの心愛にマッチアップしない一方で、心愛は友愛をマーク。「対戦が決まったときに、友愛につくことは決めていた」という心愛は、コートに立った37分29秒のほとんどで友愛の守りについた。心愛が桜花学園の起点となってオフェンスを組み立てたのに対し、友愛は無理に攻めず、要所でチームメートのスクリーンを使いながら心愛のディフェンスをはがして得点。序盤は一進一退の攻防の中で速攻を繰り出した聖和学園がリードを奪ったが、高さで勝る桜花学園がそのアドバンテージを生かし始めると、ほとんど選手交代をせずに試合を進めた聖和学園は徐々に脚が止まっていく。後半も桜花学園が堅実に得点を重ねていく中、聖和学園は攻め手を欠き、終わってみれば77-46と大差で桜花学園に軍配。妹・友愛が一足先に高校3年間のバスケット生活に幕を下ろすこととなった。
「トップリーグでは1回やらせてもらったんですけど、3年間戦えてなかったというところで、1回戦ではありますけどお互いどれだけ成長したかの勝負ができて良かったという気持ちはありますし、まだまだ自分は努力が足りなかったという悔しさもあります」(友愛)
40分フル出場した友愛のスタッツは19得点13リバウンド1アシスト3スティール。個人としては、20得点13リバウンド5アシスト3スティールの心愛と遜色なかったが、チームを勝利に導くことはできなかった。通算71度の全国制覇を誇る名門中の名門に飛び込んだ双子の姉を、友愛は素直に称えた。
「自分は4番なので、心愛につくのはあまり考えてなかったんですけど、『友愛につくよ』って心愛に言われてからは、やっぱり自分のプレーを一番わかってる相手なので、どうやってそこを上回るかということはずっと考えてました。でも、日本一を目指す所で3年間揉まれてきた心愛とは一段階違ったかなって、戦って身を以て感じました」