埼玉県の高校バスケは、正智深谷高が13年連続でウインターカップに出場している男子と比べると、女子はここ数年やや混戦の様相を呈している。その中で、今回3年ぶり3回目のウインターカップ出場を果たした昌平高は、県予選決勝で埼玉栄高に23点差をつけ、関東大会予選、インターハイ予選と併せて県内の3大会を全て制覇。その前の新人戦も含めると4冠と、一歩前に出た感がある。
その力は全国の舞台でも証明された。1回戦の相手は、留学生2人を擁する新潟産業大学附属高。コーチが同い年という縁から、この新潟産大附と鵠沼高(神奈川)、浜松開誠館高(静岡)の4校合同で練習試合をすることが多いそうだが、「留学生2人が入ってからは試合をしたことがなかったのでどうかなと思った」と加藤祐介コーチはやや不安もあったとのこと。しかし、174センチの原田朱夏を中心に体を張ったディフェンスで留学生の高さを封じることができ、攻めては成田心海が22得点、佐々木美光が18得点と自慢の2ガードが牽引。第2ピリオド以降は試合を優位に進め、81-67で勝利した。
「うちは小さい分、インサイドの守備とボックスアウトを準備してきて、今日の試合に関してはとてもうまくいったなと思います。前半で相手のインサイドの選手のファウルが多かったものですから、どこかでエネルギー切れするだろうなという感じがあって、我慢してやっていきました。3ピリで離しきれなかったので、そこは反省ですが、留学生のいるチームに勝てたことで、おそらく明日以降もそういう相手との対戦が続くと思いますし、ひとつ良い自信にはなったかなと思います」
昌平は夏のインターハイにも出場しているが、その後ベスト4まで勝ち進む東海大学附属福岡高とぶつかり、60-77で初戦敗退となっている。3年ぶりのウインターカップということは、3年生にとっても初めて立つ冬の大舞台。全国大会での勝利を経験させることができ、加藤コーチは安堵した。
「今年のチームは力がないわけではないんですが、インターハイは東海大福岡さんと当たって、1コも勝てずに終わってるんです。全国で勝たせてあげたかったというのもあるので、それに関してはホッとしてます。ただ、目標はベスト8なので、そこに向けて気を引き締めていきたいと思います」
これまでは埼玉県を勝ち上がることも決して簡単ではなかった中、インターハイとウインターカップの両方に出場できた今年度のチームを「良い意味でとても仲が良く、上下関係もないチームなので、みんなで楽しくバスケットできてるというのがあると思います」と評する加藤コーチは、これを足がかりにより強いチームを作っていけるという手応えを感じているところだ。