日本代表の躍進に「正直少し焦りもあった」
中地区2位のシーホース三河を追いかける4位サンロッカーズ渋谷の対戦が行われた水曜ナイトゲーム(※順位は3月6日現在)。前半はシーホース三河が43-30と13点差をつけ、上位の実力を示していた。しかし、同地区では横浜ビー・コルセアーズにしかホームで負けていないSR渋谷が、持ち前のディフェンスの強度を上げ、後半に流れを変える。ザック・オーガストとジェイク・レイマン、シェーファーアヴィ幸樹の高さを揃える三河に対し、ジェフ・ギブスと津屋一球はアンダーサイズながらリバウンドやディフェンスで奮闘。粘りを見えたSR渋谷が71-64で逆転勝利し、4ゲーム差に縮めた。この夜は、独走する西地区首位の三遠ネオフェニックスが6位の横浜ビー・コルセアーズに敗れ、3位の川崎ブレイブサンダースは信州ブレイブウォリアーズに勝利。チャンピオンシップ圏内にいる2位三河との差は、5位ファイティングイーグス名古屋まで5ゲーム差の混戦状態である。
追われる三河だが、「今年は何がなんでもチャンピオンシップに出なければいけない。そこはチーム全体として共通意識を持っています」と、2月3日の信州戦で復帰を果たしたシェーファーが力を込める。昨シーズン終盤の3月に右ヒザ前十字靭帯断裂の大ケガを負い、長く戦列を離れていたが、「ヒザの状態は痛みもないです。少しずつ動きが良くなっており、筋力も戻ってきています」と現在進行形で完全復活を目指す。選手にとってケガは不幸な出来事だが、「自分の体を見つめ直す良い機会でした」とプラスにだってできる。昨夏、FIBAワールドカップで日本代表の躍進に、正直少し焦りもあった。新たにやって来たコーチ陣が親身に寄り添い、「急がず、焦らず、無理するなよ、と常に言ってくれたことで、安心してコートに戻って来ることができました」とシェーファーは、ビルドアップした姿を見せている。
「ハードにウエイトをして、体の使い方のいくつかは一から変えました。それが今はしっくりと来ています。スキル面においても、ライアン(リッチマン)ヘッドコーチとダン(タシュニー)アシスタントコーチが、復帰までのロードマップを作ってトレーニングを見てくれました。そのおかげで少しずつ、本当に良くなっていきました」
26歳のシェーファーは2021年夏に東京で行われた世界最高峰の舞台に立ったオリンピアンであり、日本を代表する期待のビッグマンであることに変わりない。アスレティックなオーガスト、シュートレンジの広いレイマンとはインジュリーリストに入っていた時期から練習を通して切磋琢磨し、あとは試合勘を取り戻すだけである。ケガで療養中の長野誠史と西田優大も天皇杯ブレイク明けには復帰することを期待し、全員が揃ってチャンピオンシップ圏内を死守しなければならない。
「優勝できるメンバーが今は揃っていると思っています。先のことを見過ぎずに、一つひとつ丁寧に勝ち星を増やしていきたいです」というシェーファーにとっても、移籍してきた2020-21シーズン以来の優勝争いを渇望していた。