日本の男子バスケット界は、外国籍選手に得点面の役割を求めることが一般的な傾向となっている。305cmという、他の球技にはない高さにゴールがある競技特性を考えると、日本人にはない高さを外国籍選手で補い、空中戦でアドバンテージを取ろうとするのは自然なことだ。
帰化選手1名が外国籍選手2名と同時にコートに立てる今のBリーグのレギュレーションでは、ハンドラーやウィングの外国籍選手も増えてきたが、ペイントエリアが外国籍選手の主戦場となることに変わりはない。そんな中で、横浜ビー・コルセアーズはエドワード・モリスという帰化選手を抱えながら、いわゆる “オンザコート3” を採用していない。昨シーズンまでの2シーズンでオンザコート3を使ったのは、故障者が続出してわずか8人で戦った1試合のみ。モリスは外国籍選手のバックアップという役どころであり、ハンドラーやシューターとしての役割も担っているデビン・オリバーも基本的には4番ポジションでプレーするというのが、横浜BCの戦い方のベースとなる。
それが成立するのは、やはり河村勇輝の存在が大きな要因の一つだ。昨シーズンのレギュラーシーズンMVPは第6節第2戦で34得点を叩き出すと、続く第7節に34得点、そして11月11日の第8節第1戦も35得点を挙げてみせた。この試合は80-59でサンロッカーズ渋谷に快勝。ホームで60-83と敗れた第4節とは真逆の展開となり、アウェーでリベンジを果たした格好だ。余談だが、この時点で河村はB1得点ランキングトップ。2位には富樫勇樹(千葉ジェッツ)が続き、3位が安藤誓哉(島根スサノオマジック)と日本人ガードがトップ3を占めている。まだシーズン序盤とはいえ、これは外国籍選手が得点ランキング上位に名を連ねるこれまでの “常識” をひっくり返す事実だ。
この試合の外国籍選手の数字を見てみると、ジェロード・ユトフが9得点6リバウンド、オリバーが9得点5リバウンドといずれも1ケタ得点だった。特筆すべきはジョシュ・スコットだ。それ以前の出場11試合も2ケタ得点は直近の2試合だけだったが、この試合は無得点。それだけで驚いてはいけない。本来であれば外国籍選手に期待されるはずの得点を量産するどころか、フリースローを含めてただの1本もシュートを打つことなく試合を終えたのである。
それでも、スコットの存在価値は極めて高い。オンボール・オフボールに関わらずチームメートにスクリーンをかけに行ってアウトサイドシュートのチャンスを作るなど、チームオフェンスの中で黒子として動き、多くの得点シーンを演出。欠場を余儀なくされた青木HCの代行として指揮を執った山田謙治アシスタントコーチも、「こうやって犠牲を払う選手がチームには必要で、今日は総力戦でやろうという話をしていた中でしっかり役割を果たしてくれた。今日はフィールドゴールがなかったんですが、チームのために頑張ってくれて、すごく助けられたなと思います」とその働きを称賛した。28分22秒に出場し、その時間帯の得失点差はプラス26。どちらもチーム最多だったことが、スコットの貢献度の高さを物語っている。なお、11リバウンド3ブロックもチーム最多。しっかり数字を残しているスタッツもあることは付け加えておかねばならない。