渡邊雄太や石崎巧の元チームメイトも「宇田って誰?って感じですよ(笑)」
昨年のプレ大会を経て、1〜2年生チームによる全国大会「第1回全日本大学バスケットボール新人戦」(以下、新人インカレ)が新設され、記念すべき初代チャンピオンを決める戦いがはじまった。全国各地区を代表する24校の一覧を見たとき、「ついに上がって来たか」と目についたのが岡山商科大学である。就任当初、律儀にも宇田康利監督から連絡をいただいた。現役時代は東芝ブレイブサンダース神奈川(現・川崎ブレイブサンダース)で活躍し、2008-09のルーキーシーズンから2年間、弊スピリッツが誇る石崎巧大先生とはチームメイトだった。
2013年には日本代表として、台湾で行われた招待試合のジョーンズカップに出場。「高校卒業したばかりでかわいかったナベちゃん。今では、なんだかすごいところまで行っちゃいましたね」と懐かしそうに振り返る。そう、NBAフェニックス・サンズとの契約を勝ち取った渡邊雄太(ナベちゃん)をはじめ、田中大貴(サンロッカーズ渋谷)や比江島慎(宇都宮ブレックス)らが学生やルーキーだった頃、同じチームで世界と戦っていた。しかし、今の学生たちにとっては「宇田って誰?って感じですよ」と笑う。5年前に連絡を受けたとき、全国の舞台での再会を誓った。そして6年目を迎え、あのときの約束を果たす日がついにやって来た。
トライフープ岡山のゼネラルマネージャー兼ヘッドコーチに就任した大森勇監督率いる環太平洋大学が中国1位。岡山商科大学は2位通過だったが、いずれも岡山県のチームが新人インカレの出場を果たす。先に行われた環太平洋大学は、専修大学に56-85で黒星を喫した。同じコートで行われた岡山商科大学の相手は、年末にフルメンバーで参加するインカレ常連校でもある仙台大学。試合開始から約5分が過ぎ、着実に得点を重ねる仙台大学に対し、岡山商科大学は2点止まり。「初の全国大会の初戦は舞い上がってしまいましたね。学生も、きっと私もです」と宇田監督の言葉どおり、2-13と点差が開いていった。普段ならば入っているだろうシュートが決まらず、思いもよらぬミスも続いた。
タイムアウトを取り、「仙台大学はディフェンスのプレッシャーが強かったです。自分たちのシュートエリアもどんどん押し上げられて、ボールを受けることができない状況だったので、まずそこをがんばってもらわなければはじまらないよ、と伝えました」。少しずつ落ち着きはじめ、本来の姿が見られるようになる。
2年生の #9 山田空宙は「自分が得点を獲らなければ、やっぱりチームの流れが来ない」と強気のプレーで打開する。第2クォーターには対抗できていたが、3ポイントプレーでの失点が痛かった。3ポイントシュートとともに、セカンドショットからバスケットカウントを決められ、フリースローを与えてプラス1点を献上。前半を26-40で終え、14点のビハインドを背負っていた。