舞い降りたのは大天使か、堕天使か?
「白鞘(郁里)選手にも何かあげたい」
そんな思いで急きょ創設されたのが「MIP(Most Impactful Player:最もインパクトのある選手)」。ごく普通に「Most Impressive Player(最も印象に残った選手)」でもいいわけだし、そもそも、「Most Impactful」なんて英語があるのかもわからないが、造語でもいい。とにかく2022-23シーズンの白鞘を見ていると、チームのため、リーグのため、日本の女子バスケットのためにできることってたくさんあるのだと、改めて気づかされた。ならば、スピリッツとして賞を差し上げるべきではないか。近年、その手のエンターテイナーといえば、髙田真希か、馬瓜エブリンだった。他にもいるだろうけど、その中心にはいつも彼女たちがいるという印象があるだけに、舞い降りてきて新たな天使にもぜひ賞を差し上げたい!
彼女の経歴を覗いてみて、なるほど、である。十把一絡げにしてはいけないと思いつつ、やはり出て来たな、大阪人。ウィキ情報なので真偽は未確認だが、フルネームには白鞘と郁里の間に「アニエス・キャロリーヌ」が入るらしく、だからコートネームも「キャロ」なのだろう。お父さまはフランスの方だとあるから、あるいはエスプリの効いたユーモアはお父さま譲りなのかもしれない。そんな空想さえも楽しませてくれる。
何かを差しあげたいと言ってはみたものの、上記のとおり、当方の彼女に対する情報は、ウィキをはじめとするネット情報と、スタッツ以外に何もない(申し訳ない!)。それでもチームサイト(https://cougars.hitachi-hightech.com/players/02_caro/index.html)にある「私の見所は破天荒なところです♡年相応なんて気にしないで明るく元気にチームを盛り上げていきたいと思います!!」を読む限り、やはりMIPに推してよかったと納得する。自らを「破天荒」と言えるそのメンタリティー。ええやん♪
もちろん本分であるバスケットも、2022-23シーズンは一定のインパクトを残した。日立ハイテククーガーズに入団後、初となるレギュラーシーズン全26試合にスタメン出場。1試合平均の得点こそ前シーズンをわずかに下回っているが、アシスト、リバウンド、フリースロー成功率は数字を上げている。ただ、数字以上に感じるのは、ゲームのなかで突然、どこからともなく現れて(そんなわけはないのだけど)、力強いプレーでドスンと一撃を食らわす。スタメンでありながら、ゲームチェンジャー的なイメージが強い。
新しいシーズンでは、2シーズン目となるキャプテンとして、チームをさらなる高みに導いてほしいと思う一方、リーグ屈指のエンターテイナーとしても “社長” や、“夏休み明けの元芸人(?)” とともに、これまでと違った角度からWリーグを楽しませてもらいたい。オールスターで天使の格好をして「ばかうけ賞」を受賞した者の務めだろう。
まったくもって取り留めのない紹介文だが、2022-23シーズン、Wリーグのスピリッツ的MIPは、やはり “エンジェル白鞘” しかいない。さて、この天使は大天使へと昇格するのか、堕天使へと降格するのか。みなさまの査定は ── !?
文 三上太
写真 W LEAGUE
「Basketball Spirits AWARD(BBS AWARD)」は、対象シーズンのバスケットボールシーンを振り返り、バスケットボールスピリッツ編集部とライター陣がまったくの私見と独断、その場のノリと勢いで選出し、表彰しています。選出に当たっては「受賞者が他部門と被らない」ことがルール。できるだけたくさんの選手を表彰してあげたいからなのですが、まあガチガチの賞ではないので肩の力を抜いて「今年、この選手は輝いてたよね」くらいの気持ちで見守ってください。
※選手・関係者の所属は2022-23シーズンに準ずる。