ケガと隣り合わせにいるアスリートであり、バスケにおけるヒザの靱帯損傷は選手生命を脅かし兼ねない。長期離脱を余儀なくされ、リハビリに専念してもケガをする前の状態に戻れるのか ── という不安がつきまとう。専修大学の喜志永修斗は、2年前に左ヒザの靱帯を損傷。復帰してまもない去年、今度は右ヒザの靱帯を断裂してしまった。
「ケガをした瞬間は引退も考えました。すぐに病院に行かなければいけなかったのですが、『ちょっと待ってください。気持ちを整理させてください』と言うほど、本当に迷いました」
2度目のケガは、その先の将来を閉ざされてしまった感覚に陥る。リハビリの厳しさや、バスケができない虚無感などを経験したからこそ、簡単には立ち直れなかった。佐々木優一監督をはじめ、スタッフやチームメイトたちに支えられながら、「もうボロボロになるまでやればいいじゃん」という言葉に背中を押された。復活に懸ける選択をしたことで、今シーズンの関東大学オータムリーグでは元気な姿を見せている。10月22日の神奈川大学戦では先発を任され、14点と活躍。本来の姿を取り戻しつつある喜志永に、これまでの葛藤とこれからの希望を語ってもらった。
「本当に少しずつですが、変化している手応えは感じています」
1年前にケガをしたときは、本当に先のことを考えることができませんでした。でも1年後の今、ようやく復帰でき、しかもB3(横浜エクセレンス)の大きな会場でプレーさせてもらうこともでき、今日(10月22日)はスタートで出ることも分かっていたので気分も良かったです。まだプレータイムの制限はありますが、ケガ人もいる状況だったので、「後半はできます」と自ら志願して最後まで出させてもらいました。チームが苦しいときこそ4年生として、キャプテンとしてもそうですが、自分がやらなければならない自覚やもともと得点を獲るプレーヤーだったからこそ、そこを忘れてはいけない。第3クォーターからは積極的に攻めることを意識し、思うようにプレーもできたので自分としては良かったのかなと思います。
今年のリーグ戦に照準を合わせて、復帰のための準備をしてきました。トレーナーの高橋(基樹)さんには、「リーグ戦の前半戦はもうしょうがないので、うまくいかないと割り切った方がいいよ」と言われた言葉どおり、終盤になった今、ようやく戻ってきた感覚なので計画通りですね。