2位浮上の可能性が見えたことで、霧が晴れた川崎ブレイブサンダース
先週末、琉球ゴールデンキングスが西地区優勝を決めた。東地区は千葉ジェッツに優勝マジック4が点灯しているが、コロナ禍で中止となった試合が多々あり、足並みが揃わない。首位の千葉が40試合に対し、4位の宇都宮ブレックスは52試合、3位の川崎ブレイブサンダースも51試合と10試合以上もの差が生じている。2位のアルバルク東京(49試合)を含めた上位4チームは、いずれもチャンピオンシップへの出場を決めたが、そのゲーム差は「0」で並ぶ。地区優勝、さらに2位以上を死守することでファンとともに戦うホームコートアドンバンテージをつかみ取るための戦いが続く。
川崎は前節の新潟アルビレックスBB戦に連勝したことで、残る試合を勝ち続ければ自力で2位以上に浮上できる状況となった。千葉戦前日のチームミーティングで佐藤賢次ヘッドコーチは、「残り試合からチャンピオンシップまで全部勝ちに行こう!」と士気を高める。選手たちは霧が晴れたようにモチベーション高く千葉戦を迎えた。
「川崎にジャンプスタートされ、巻き返す時間帯もあったが、多くの時間帯でフィジカルの部分で負けてしまったところが敗因」と大野篤史ヘッドコーチが言うように、長谷川技の3ポイントシュートを皮切りに21-3と川崎が一気に流れをつかむ。「ずっと強度が落ちなかったディフェンスが、最後に効いて第4クォーターは相手を11点に抑えることができた」と佐藤ヘッドコーチは勝因を挙げた。
試合開始直後、ディフェンスリバウンドを獲った富樫勇樹が、前を走るジョン・ムーニーへパスを送る。千葉が得意とする速いオフェンスに対し、ジョーダン・ヒースが必死に戻り、そして追いつきブロックショットで阻止した。前節の新潟戦でも同じようなプレーがあり、「あれこそが川崎の魂であり、軸であり、全員がやるべきプレー。最後まで諦めない姿勢を残り試合でも、ホームのとどろきアリーナでたくさん表現できるようにしていきたい」と佐藤ヘッドコーチは話していたとおりのプレーを体現し、流れをつかんで行った。
ファウルアウトも覚悟の上で身体を張って守った増田啓介の献身
今シーズン対戦した千葉との2試合(※天皇杯決勝を除く)で先発を任された増田啓介の活躍がキーポイントと見ていた。「相手の核となるのは富樫(勇樹)選手と(クリストファー)スミス選手であり、そこがストロングポイントでもあると思っていました。3ポイントシュートを打たせないように、体をくっつけてディフェンスすることを意識して臨みました」という増田は、ファウルアウトも覚悟の上で身体を張った。オフェンスでは9点を挙げ、そのうちの7点を第4クォーターに決めて勢いづけた。学生時代からどんなに良いパフォーマンスをしても、反省点を口にしてきてきた増田だが、前向きなコメントに自信がうかがえる。
もうひとつのポイントは、ジョシュ・ダンカンに対するディフェンスである。今シーズン、川崎が敗れた試合は22点・10リバウンドを奪われた。逆に、一桁に抑えた試合はいずれも勝利し、天皇杯決勝も9点で凌いでいる。この日も2点に抑えたダンカンに対し、包み隠すことなく佐藤ヘッドコーチは「一番のキープレーヤーとして意識している」と明かす。