納見&遠藤の若手コンビから綿貫&佐藤のベテランへ先発を入れ替えた意図
40点差がついたワンサイドゲームの結果だけを見れば、凡戦である。リアルタイムで見られなかったファンであっても、バスケットLIVEで見直すことはないかもしれない。だが、現場では違った光景が見えるものだ。
新型コロナウィルスの集団感染に見舞われた新潟アルビレックスBBは、4月6日以来となる17日ぶりの試合を迎えた。東地区3位の川崎ブレイブサンダースとの初戦は71-96。第2戦はさらに点差が開き、70-110の40点差で敗れている。平岡富士貴ヘッドコーチは、「まだまだ選手たちのコンディショニングが上がっていない。もう少しファイトできると思った第2戦だったが、今ある中で選手たちは最後までがんばってくれた」と労う。未だ復帰できていない選手がおり、新型コロナウィルス感染により心肺機能の低下、練習や実戦から離れたことで試合勘も戻っていなかった。「コロナによって活動できなかった期間はすごくもったいない時間だったな」と平岡ヘッドコーチが悔しさを噛み締める。どんなに予防していても避けられないのがこのウィルスの脅威であり、誰も責めることはできない。
ルーキーの遠藤善も「コンディションがあまり戻っていない」ことを明かす。「前半は昨日よりもうまく戦えていたと思います。しかし後半は、こちらも得点を獲れていましたが、相手に取られている場面が多かったです」と遠藤が振り返るとおり、ドライブを仕掛け、パスをつないでようやく得点にたどり着く新潟に対し、川崎は速攻や3ポイントシュートで簡単に点差を引き離して行った。「ディフェンスの修正力をもっと高めるためにも、また明日から練習していきたいです」と課題を挙げ、そして前を向いた。
遠藤は出場した27試合中26試合、ポイントガードの納見悠仁も44試合中31試合をそれぞれ先発で起用されてきた。しかし川崎との2戦は、「いろんな意図があって先発を代えた」と平岡ヘッドコーチは言い、ベテランの佐藤公威と綿貫瞬を真っ新なコートへ送り出す。平岡ヘッドコーチは、「本来であればスタートポイントガードとして考えていたが、ケガもあって出遅れてしまった」と経験ある綿貫に期待し、当初の構想どおり復調するのを待っていた。シューティングガードの佐藤公威に関しては、「練習中からアタックが向上しており、またディフェンスもチームルールを徹底してくれている」と37歳を迎えたベテランが成長を見せ、先発の座をつかんだ。
「納見と遠藤をチームの中心としてここまで作ってきた。彼らにたくさんの経験を積ませたい思いもあった」と平岡ヘッドコーチの期待値は変わっていない。佐藤は評価されたドライブアタックで川崎の大きなディフェンスの壁をこじ開け、2本のスティールを決めた綿貫はディフェンスやルーズボールを追いかけ、闘志溢れるプレーを見せた。
ベンチでその戦いぶりを見た遠藤は、「自分が出ているときとは違ったスタイルのバスケができていて、それを見るのも勉強になりました。流れが悪いときに自分が途中からコートに入ることによって、チームのスピードを上げて良い流れを持って来ることができている部分もあったので、そこは次につなげていきたいです」と先輩たちの活躍に刺激を受け、後半だけで7点を挙げた。