中編:キーワードはオープン!若年層にも開かれたコンバイン より続く
海老原氏は、いわゆる強豪バスケ部出身ではない。それどころか、小学生時代はまわりにミニバスチームがなかった。しかし、そこであきらめることなくプレーグラウンドを探した海老原少年が、たどり着いたのが公園である。「自転車のカゴにボールを入れて、いろんな公園に行ってピックアップゲームをしていました」という行動力とともに、バスケの深みにハマる。中学や高校生になっても、日本でもアメリカでも公園でプレーし続け、ともに楽しんでいた世代を超えた仲間たちの中で揉まれていった。そんな海老原氏だからこそ、オープンスペースで繰り広げられる3×3への思い入れは人一倍強く、その中でも普及に重きを置いている。
3×3ネイティブ世代誕生を目指す普及活動
2014年に7チームからスタートした3×3.EXE PREMIERが、今では100チームを超えているのは素晴らしいことです。それだけ3×3にはいろいろな可能性があり、チーム数が多いということは、それだけ普及面でのメリットも広がると言えます。大都市だけではなく、いろんな地域にプロチームが誕生し、小さい街だからこそ手触り感のある地域に密着したチームもあります。日本に3×3の新しいカルチャーを根付かせる意味でも、普及面は絶対に外せない大事な要素です。
東京など都市部だけではなく、プロチームの誕生とともに様々な地域に大会を誘致することもできます。また、その街の選手が活躍することで、海外の大会に出場できる3×3や3×3.EXE PREMIERの仕組みには夢があります。チーム増加がそのまま3×3の普及活動に直結しており、それも3×3.EXE PREMIERの良いところです。
若い世代に対する普及や底上げを積極的に行うことで、その中から将来のスターが出てくると信じています。どこかの小さな街で誕生したプロチームの試合を見て、憧れた小中学生が3×3をはじめて力をつけ、様々な大会を勝ち抜いて世界に出ていく── そんなストーリーが5年後や10年後に実現すれば、自ずと「3×3ネイティブ世代が誕生」します。今は、部活動からトップリーグまで5人制バスケ経験者が、もう少しだけ現役を続けたいという思いで3×3にプレー環境を求めてくるケースが多いです。しかし今後は、最初から3×3で育つ選手が台頭する時代に突入していけるようにしたいですし、そのための道筋を作らなければいけないという使命を感じています。
アーバンスポーツの先輩競技では実際にそれが起きており、スケートボードでは10代の選手が世界チャンピオンになっています。オリンピックを見ても、3〜4歳の頃からボードに乗って遊んできた世代が引っ張っています。同じようなレベルまで3×3を普及させたいですし、それが強化につながるというのが持論です。大会に出場し、勝利ポイントで競い合う3×3はフェアで、オープンな競技です。自分を表現し、楽しみながらプレーしていれば、オリンピックなど世界の大舞台に立てるチャンスをつかめるのが、アーバンスポーツの良いところです。