かつては三条が地元開催を含めて4度インターハイを制し、1999年には新潟商がインターハイ制覇。その間には新潟工も全国大会で上位に食い込むなど、新潟県の高校バスケ男子は常に全国でも強豪の一角を担っていた。近年は帝京長岡と開志国際が2強を形成し、京都府や福岡県と同様に県内で互いに譲らぬ激しい争いを展開している。そうしてしのぎを削ってきたことがレベルアップに直結し、今夏のインターハイで帝京長岡が地元開催の地の利も生かして準優勝までたどり着いたことは記憶に新しい。
その帝京長岡のインターハイ準優勝により、今年のウインターカップでは新潟県男子に3つの出場枠が与えられた。2つの枠は帝京長岡と開志国際が順当に手中に収め、残る1枠をつかんだのが北越。1988年以来、実に33年ぶり2度目の出場となった。当時はまだ全国高等学校選抜優勝大会と呼ばれ、北信越地域からたった1校しか出場できなかった時代。北越は全盛期の新潟工を差し置いて全国に駒を進めたが、あえなく初戦で姿を消している。
33年の時を経て再び全国の舞台に立った北越の初戦は大会初日の12月23日、東京体育館のCコートで行われた。相手は204センチ122キロの留学生、ジョベ・モハメドを擁する高知中央である。ベンチ入りメンバーの最長身が183センチという北越にとって、非常に難しい相手であることは確かだった。
しかし、北越は試合序盤から一進一退の攻防を繰り広げ、第1クォーターは1点リード、前半終了時点で同点、さらに第3クォーターも1点リードで終えた。そして迎えた第4クォーター、北越はアグレッシブな3ポイントとセカンドチャンスで得点を重ね、このクォーターだけで35得点を叩きだして高知中央を撃破してみせた。思い切りの良さは3ポイントやリバウンド以外にも随所に表れ、残り1分34秒には177センチの青木汰斗がジョベの待つゴール下に果敢にアタックし、勝利を決定づけるバスケットカウントをもぎ取っている。サイズの不利に臆することなく真っ向から挑んだ勝負は、会心の結果を呼び込んだ。
これまでは帝京長岡と開志国際に全国への道を阻まれ続けてきたが、今大会に限れば県内でその2校と戦ってきたことが生きた。留学生を擁するチームと戦った経験が全国での1勝に結びついたのである。結果的にジョベには43得点23リバウンドを許しているが、就任8年目の後藤寛史コーチはジョベに対して体を張った西巻拳汰を称えた。
「今までも県内では毎回西巻が留学生とマッチアップする役で、その積み重ねが全国の舞台で生きたと思います。40分交代なしでよく頑張ったと思います。我々は身長はないんですが、その中でも工夫しながらやってきたことが実って、やってきたことが間違いではなかったと思いますね」