横浜市に迎えられた13番目のスポーツチーム
6年目のBリーグが開幕した。昨シーズンはコロナ禍によって足並みが揃わず、年明けから人知れずはじまり、昇格もなく静かに終わった印象があるB3。しかし、今シーズンは同時期に開幕し、Bリーグ入りを目指すプロアマ混在マイナーリーグの熱き戦いがはじまった。
東京板橋区から神奈川県横浜市に移転し、新たなスタートを切ったのが横浜エクセレンスである。横浜ビー・コルセアーズに続くプロバスケクラブとしては2つ目、Jリーグも2クラブを有し、プロ野球など数多競技をパートナーとする横浜市において13番目のスポーツチームとして迎えられた。ホーム移転は地元ファンにとっては寂しい思いもあるが、B1へ向けた布石と前向きに捉えたい。2024年春には横浜文化体育館跡地に、横浜ユナイテッドアリーナがオープンする。そこに合わせて、B1ライセンス取得&昇格を期待したい。仮に、横浜ビー・コルセアーズとともに新アリーナを共有すれば、ロサンゼルスのような楽しみ方ができる。NBAのレイカーズとクリッパーズは、ホームアリーナでもアウェーユニフォームを見られるのがうれしい。レイカーズだってミネアポリスから州を超えてやってきた移転組だ。
台風16号がタイミングよく過ぎ去った金曜の夜、横浜武道館に集まったのは685人。昨シーズンの開幕戦(303人)と比較すれば倍以上である。しかし、コロナ禍前の2019-20シーズンのB2開幕戦は905人だった。コロナ対策によってシートは半分に間引かれているが、1000人を優に超えるだけのキャパシティを誇るだけに、晴天の土曜に開催される2戦目はその数字を超えてもらいたい。
7人の新戦力が噛み合ったときへの期待感
昨シーズン3位の横浜EXは、同8位の岐阜スゥープスに80-87で敗れ、記念すべき移転初ホームゲームを飾ることはできなかった。横浜EXはミッキー・ミチェルがロスターを外れ、外国籍選手は2人しかいない。どちらか1人がベンチに下がっている時間帯にリバウンドを支配され、点差が離れていった。「リバウンドの弱さは今シーズンを通して課題になると予想している」と石田剛規ヘッドコーチが話すとおり、アイザック・コープランドこそ206cmだが、アーネスト・ロスは198cm、ミッチェルも200cmとアンダーサイズは否めない。さらに、今シーズンの横浜EXは先に挙げた外国籍選手を含めて7人の新たな選手を迎え、まだまだ歯車が合っていないことは石田ヘッドコーチも認めている。
最大19点リードを奪われながらも最終クォーターに粘りを見せ、7点差まで追い上げたことに「敗れた結果はもちろん悔しいが、ワクワクする部分もすごく多かった」と石田ヘッドコーチが言うように余白は十分あり、期待値は高い。59-76、17点差を追って迎えた第4クォーター、若き新戦力たちが少しずつフィットしはじめた。佐藤誠人が速攻を決め、大﨑翔太も3ポイントシュートで追い上げ、荒川颯は得意のドライブで攪乱していく。最後の10分だけで9点を挙げ、反撃の原動力となったのは「ずっと横浜で育ってきて、やっと恩返しできるチャンスがきました。その機会を与えてくれた社長をはじめ、エクセレンスには感謝しています」という塚本雄貴だ。
横浜市出身、アレセイア湘南高校から専修大学と神奈川県内でバスケを謳歌した塚本が、地元に戻ってきた。専修大学4年次の2018-19シーズンに特別指定選手として八王子ビートレインズでプレーし、2年目には先発として13試合に出場した。しかし、昨シーズンはどことも契約に至らず、「悔しい思いがこの1年間ずっとありました」。その間、自ら練習場を借りてワークアウトを続け、B1やB2の最前線で戦っている仲間たちとワークアウトする機会もあり、努力し続けた。地元でもう一度輝くチャンスをつかんだ今、誰よりも感謝してコートに立っている。