プロスポーツチームにとっての三大収入源は「チケット」「スポンサー」「放映権」と言われている。日本スポーツ界における放映権に至っては、収入源としては厳しいのが実状だろう。地上波はくだらないワイドショーやバラエティー番組が帯を陣取り、放送局が拡大しているBSやCSに至ってもスポーツ専門チャンネルは限られてしまう。また、なぜか海外メジャースポーツが、少ない放送枠に居座ってしまっている感も否めない。視聴率という結果を残しているスポーツにしか、その隙間に入る術は無さそうだ。プロ野球やJリーグでさえも、容易にその隙間に入れずにいる。
日本のスポーツが本気で放映権料を求めるならば、国内よりも海外へのコンテンツ輸出を模索した方が良いのかもしれない。今、それを実行しているのがJリーグのアジア戦略だ。海外で話題になれば、あっという間に日本のメディアが取り上げるのもまた、日本の文化。MLBやサッカー欧州リーグで活躍する日本人選手が脚光を浴びるのが、その最たる例だ。日常にあるはずの国内プロスポーツだが、海外で認知度を上げて逆輸入に期待するしかないのだろうか!?
bjリーグとNBLはインターネット中継が行われており、どちらも同じヒューマンアカデミー株式会社が運営をしている。日本でもNBA.TVが見られるように、ネットであればすぐに世界展開できるはずだ。しかしながら、注意事項には「海外ではご試聴いただけません」と書かれている。バスケのマーケットが確立している海外にこそ、売り込むべきではないか。日本にやって来た外国人選手たちの家族や友人、すでに海外リーグで活躍した選手であればそのファンを取り込むことだってできる。また、日本のカルチャーを欲している外国人も多い。日本文化とバスケの両輪から世界進出へ着手し、スポーツ産業の輸出をもって収入源につながるかもしれない。
そのためにも大事になるのがマーチャンダイジング!
スポーツとしてよりも、ファッションから根付いたNBA
三大収入源とともにマーチャンダイジング(物販)もまた、プロスポーツチームにとっては大きな収入源となる。海外プロスポーツリーグやチーム、スポーツ店やスーパーなどのサイトに行けば、世界各国からネットを通じてチームウェアやグッズが簡単に手に入る時代だ。
ヤオ・ミンがNBAに入るや否や、すぐさま中国語版ができた衝撃は今でも忘れない。ヒューストン・ロケッツやNBA全体がアメリカ国内だけではなく、中国の人口約13億人(WHO世界保健統計2013年調べ)へロックオン。たった3億人のアメリカ人から一気に4倍以上もある中国へ向けて、マーケット拡大を加速させた。2010年にはインドでNBAのTV放送を開始。世界第2位の人口である12億人をも、すでに見込み客として囲い込んでいるのだ。目に触れる機会が増えれば、必然的にマーチャンダイジングにも大きな影響を及ぼす。そのためにもやっぱり放映権が大事と言えるが、日本の広がりは少し異なるのではないだろうか。
日本では縁遠かったはずの1980年代から、街を歩けばNBAのチームウェアを着ている人を見かけていた。それは、日本人NBA選手が誕生する以前からの話であり、簡単にTVで見られる時代でも無かった。日本におけるNBAは、スポーツやバスケよりも先に、ファッションから入り込んで来たことで根付いたと言えるのではないか。