北海道文教大学附属高校への入学がトライアウトの必須条件
2021年4月よりB1各クラブはU18ユースチームを保有し、U15チームに続く2世代目の育成が本格始動する。各クラブがトライアウトへ向けた告知をスタートさせる中、レバンガ北海道の取り組みに興味が沸いた。
9月にトライアウトを控える北海道U18ユースチームの参加対象は中学3年生であり、北海道文教大学附属高校への入学が必須条件となる。この意図について、齋藤拓也ヘッドコーチにお話を伺った。
「今回、北海道文教大学付属高校と教育連携協定を締結しました。文武両道もありますが、それ以上に人間性を高めることにクラブとして重きを置きたかったことがひとつの理由です」
2017年からスタートしたU15チームでは、「練習時間だけ選手たちの行動を見ているだけでは、なかなか人間性を高めきれなかったです」という課題点を克服する狙いもあった。テストの結果や学校の成績表の提出を義務づけているが、やはり学生の本業である部分が疎かになってしまうケースも否めない。「学校生活がよくなかったり、バスケだけをしていれば良いんだ、という意識だけは持って欲しくなかった」と齋藤コーチは考え、コート内外を把握できる環境を求める。
U18ユースチーム発足へ向け、北海道文教大学附属高校と教育連携し、チーム担当の教員が普段の生活から指導する。学校とコーチ陣が密なコミュケーションを行いながら「選手たちの学校生活を把握することによって文武両道にもつながるし、人間性も高めていけると考えました」という齋藤コーチはバスケの技術を教えるだけではなく、立派なプロ選手や社会人を育てることが根底にある。
技術以上に「考える力、頭の柔軟性、発想力」の必要性
2012年、アカデミーから北海道の育成に長く精通してきた齋藤コーチは、「あくまでも選手個人がプロを目指せることを第一に重きを置いています。クラブとしてもトップチームにどう引き上げることができるか、またはプロ選手に育てていけるかを第一に考えています」とバスケIQを高めていくことを重視する。以前、トップチームを指揮した水野宏太ヘッドコーチ(現:アルバルク東京トップアシスタントコーチ)から多くの刺激を受け、そのときに学んだことをユースチームに注いでいた。
「強いチームと比較し、レベルが劣るチームはどう戦えば勝機を見出せるかについて水野コーチは本気で考えていました。個々のスキルだけではなく、コートに立つ5人やチーム全体で動きを明確にし、全員で戦っていくのが水野コーチのスタイルでした。今、同じようにユースチームで教えているとスキルも大事ですが、それ以上に選手たちの頭の柔軟性や発想力に行き着きました」
齋藤コーチは常に「タンスをイメージさせて、その引き出しをより多く作っていくように伝えています。選手たちが今後、大学やプロなどいろんな場所で活躍していくためにも、その引き出しをどう使い分けられるかを求めて指導しています」と話し、自主性や判断力を伸ばしている。