コロナウイルス感染拡大の影響により、レギュラーシーズンを全うすることなく終了となった。チームとして成熟していく残る1/3の期間で、伸びる選手はもっと多くいたことだろう。その影響もあり、MIP賞の選考は難航した。
Bリーグ4シーズン目にして21勝20敗、初の勝率5割を超えた滋賀レイクスターズの齋藤拓実とシェーファーアヴィ幸樹がノミネートする。一人の選手を複数の賞に選出しないのが、スピリッツアワードの定義だ。齋藤は西地区ベスト5を受賞していたため、早々に外れた。シェーファーは平均15分とプレータイムが少ないため、来シーズン以降に期待することとなった。
続いて名前が挙がったのは、千葉ジェッツの田口成浩だ。これまではキャッチ&シュートがメインだったが、得点力ある選手が多い千葉においてそのプレースタイルに変化が見られる。ペイントアタックで相手のディフェンスを収縮させ、周りを生かすパスで活路を見出す。スタッツに反映されないながらもオフェンスの起点となり、成長を遂げていた。
昨シーズンは1試合に留まった先発出場も、今シーズンは40試合全てで起用され、大野篤史ヘッドコーチの信頼を勝ち取ったこともMIP賞を獲得した大きな理由である。秋田ノーザンハピネッツのエースから、タレント揃いの千葉の中でも居場所を見つけた。来シーズンはこの活躍が、しっかりスタッツにも現れていくはずだ。
文 泉誠一
写真 三上太、泉誠一