part2「『勝負所どころで託された1本は必ず決められると思って打つ』(辻)」より続く
辻と藤井はオフコートでも仲がいい。「常にアホなことを言ってみんなを笑わせていますね。辻在るところに笑い在りって感じです」というのが藤井の辻評だ。しかし、ひとたびコートに立てばその辻評はガラリと変わる。「めちゃくちゃすごい人。いろんなスキルもそうですけど、それだけじゃなくて勝利を引き寄せるオーラみたいなものを感じます」。一方、辻の藤井評は「年々成長してますね。いや、もうほんとに頼もしいですよ」。普段は互いの話に突っ込みを入れ、周囲に笑いを振りまく2人はコート上でもそのまま息の合ったプレーを見せる。リーグが中止となったことで「てっぺんに行く」目標は来シーズンに持ち越されたが、その無念さは必ずエネルギーに変わるはずだ。気持ちは次へ。来年こそ、行くぜ、てっぺん!
※この記事の取材はシーズンの途中終了前、3月10日に行われました
成熟度を増すことでチームはさらにステップアップできる
── 藤井さんはポイントガードとしてはまだ勉強することが多いとおっしゃっていましたが、対戦してすごいな、あるいはマッチアップして嫌だなと思うポイントガードはいますか?
藤井 Bリーグには特徴のあるガードが揃っているので、それぞれすごいとは思いますけど、その中で挙げるとしたらやっぱり富樫(勇樹・千葉ジェッツ)ですかね。
── それは富樫選手のスピードやシュート力、フィニッシュまで行ける力などから感じるすごさですか?
藤井 もちろんそれもあります。でも、それだけじゃなくて、富樫には「また違う舞台で戦う姿を見てみたい」と思わせるものがあります。たとえばワールドカップで戦う富樫を僕は見てみたかったんですね。世界を相手にしたとき、簡単にスイッチされて時間だけが無くなっていくということがあるじゃないですか。そういうときに富樫だったらどういう判断をして、どんなゲームメイクをするのかなあとか、あのサイズでどこまで戦えるのかなあとか。
辻 そういう場面の富樫を見たかった?
藤井 そうです。ワールドカップでは(日本は)あんまり相手のディフェンスを崩せなかったじゃないですか。インサイドでは八村(塁・ワシントン・ウィザース)なんかが頑張っていましたけど、それが中心というか、アウトサイドの攻めが少なかったような気がします。まあシューターがいなかったというのもあるかもしれませんが、ドライブで崩してキックアウトというのも少なかったし、あそこに富樫がいたらどうだったんだろうって、それを見てみたかったですね。
辻 うん、それはたしかに見てみたかったな。
藤井 あと、マッチアップして嫌なのは並里さん(成・琉球ゴールデンキングス)ですね。あの人は体も強いし、テクニックもあるからプレッシャーをかけられないんですよ。
辻 それはわかる。プレッシャーかけるだけ無駄な感じがするよな。
藤井 そうなんですよ。並里さんはどちらかと言えばアウトサイドシュートの方が苦手な気がするので、なるべく外から打たせるように仕向けたいんですけど、それもなかなか難しい。ほんとにやっかいな選手です。