4勝目を挙げ、歓喜に沸いたホームゲーム
「突然変異というか、これほどまでになるとは夢にも思わなかったです」
神奈川大学の幸嶋謙二監督は、自ら見つけたダイヤの原石を磨き上げたことで、現在関東大学1部リーグでまぶしい存在となっている。
3年生になった小酒部泰暉は平均24.7点を挙げ、得点王争いのトップに立つ。合計444点は、2位の松脇圭志(日本大学)の330点より114点も多い。開幕戦でいきなり最多となる35点を記録し、これまで6試合で30点以上を叩き出している。3Pシュート成功数37本(33%)は3位(1位は松脇/65本)であり、ダンクを披露する頻度も高い。登録はスモールフォワードだが、全てのポジションをこなすオールラウンダーであり、ポイントゲッターだ。しかし、チームは4勝14敗で12チーム中10位 ── 残留争いの真っ只中にいる(※下位2チームは自動降格、9・10位は入替戦へ)。
(※順位やスタッツはすべて10月30日現在)
突然変異の小酒部は、苦しんでいた。これまでは上級生たちが支えていたことで、思い切って自分のプレーをすれば良かった。しかし、3年生となった今は後輩たちを引っ張り、チームのレベルを引き上げる役割を幸嶋監督も求めている。「得点を獲るのが自分の仕事というだけ」という小酒部だが、スタッツや得点王は意識していない。チームのために「勝ちにつなげるプレー」を全うしているだけだ。
結果に結びつかない原因として、「他の選手たちが自分のことばかりを見てしまっている」と小酒部は課題を挙げた。その状況を改善すべく、チームで戦い、積極的にゴールへ向かうことを強調すると、「ここ3試合は70点以上を獲れるようになりました」と幸嶋監督も変化を実感する。10月30日の白鷗大学戦は72-67で4試合ぶりに勝ち星を得た。「前半はリードされていましたが、後半に追いついて逆転勝利できたのも応援の力が大きかったです」という小酒部は31点を挙げ、神奈川大学湘南ひらつかキャンパスでのホームゲームを勝利で飾った。