part2「求められることで力を発揮するタイプ」より続く
オリンピックに出ることが決まっているからこそ、メダルを獲れるかに焦点をあてなければいけない
小林大祐は開幕に向けた茨城ロボッツの準備、グロービス経営大学院への受験に備え、さらに東京オリンピック出場を目指して3×3も本気で取り組む忙しい夏を送っている。UTSUNOMIYA BREX.EXEはこれまで3×3.EXE PREMIERで6回の優勝を飾り(8月17日現在)、個人としては日本代表に選出されて国際大会にも出場した。
初めて3×3をプレーしたのは今年2月であり、まだ半年程度の経験値でしかない。「強いチームは、同じ選手が何年も一緒のチームでプロサーキットに出場しています。世界ランキングの上位チームはほぼそうです。今、日本代表、BREX.EXE、WILL.EXEと3チームでプレーしていますが、それぞれで役割が変わってきます。その中で、どうやって自分の色を出せば良いか迷っていました」という葛藤があった。
一歩ずつ経験を積み、3×3の戦い方が分かったことで、活路を見出す。その答えは「お前らが俺に合わせろ」だった。5人制では「求められることで力を発揮するタイプ」の小林が、3×3では180度考えを変えた。「これまでは遠慮していたことで自分の色が出せなかった。ならば、まずは積極的に自分のプレーを示しながら、チームメイトに合わせてもらうスタイルに変えました」と、メンバーが固定されていない3×3で活躍できる答えを見つけたことで前進し始めている。
今年5月には日本代表としてアジアカップに参戦。当時は「なかなか自分の役割が分からず、練習も浅い中での大会だったので、経験不足は否めなかったです」とチームになりきれず、攻守に渡って孤立する姿が見られた。しかし、少しずつ3×3に順応しながら迎えた6月のワールドカップでは、「今までヨーロッパのチームに勝ったことがなかった中でポーランドに勝てたことは最低限の収穫でした」と手応えを実感している。予選ラウンド敗退となったが、それでも準優勝したラトビアと接戦を演じ、ブラジルに勝利し、予選ラウンドで負けなしだったポーランドに対して最後に土をつけた。そのポーランドは銅メダルを獲得した強豪だ。敗れたラトビア戦こそが「理想的な試合展開」であり、世界との距離がグッと縮まったことを実感している。