35歳以上を対象に、がんばるベテラン選手を称えるのが「アイアンマン賞」だ。
今シーズン、60試合全てを先発出場したオーバー35はいなかった。新潟アルビレックスBBの五十嵐圭(39歳)と千葉ジェッツのマイケル・パーカー(37歳)が最多となる59試合に先発出場を果たす。五十嵐は中地区優勝を決めた翌日4月14日の川崎戦を欠場したが、パーカーは全60試合出場。スタッツを比較すると五十嵐は平均11.5点/5.2アシスト、パーカーも平均15.8点/8.9リバウンドとそれぞれの役割を全うする数字を残している。ならば、アイアンマンらしく出場時間で勝負だ。60試合出場したパーカーは1791分。対する五十嵐は、1試合少ないながらも1843分と1試合分以上も多くコートに立っていた。この結果により五十嵐が、昨シーズンに続いて二度目のアイアンマン賞に輝いた。
バスケという競技は無差別級である。新潟には180cm/70kgの五十嵐から208cm/124kgのラモント・ハミルトンまでいる。幅広い体格差の10人が、28m×15mのけっして広くはないコート内でひしめき合う。インサイド同士であれば、10cmほどの差でもまだ耐えられるし、それができなければBリーグでは戦えない。だが、五十嵐のようなアウトサイドプレーヤーが、重戦車のようなビッグマンが待つペイントエリアにアタックしていくだけでも勇気がいる。そして、ケガされやすいポジションでもある。しかし、日本が誇るスピードスターは、長いシーズンに渡ってケガなくプレータイムを伸ばしていることこそがアイアンマン賞に値する。
2006年に日本で開催された世界選手権(※今夏に行われるワールドカップに名称変更)へ向け、ジェリコ・パブリセヴィッチヘッドコーチが山を走らせながら、基礎体力を向上させるトレーニングに時間を費やしてきた。それにより彼らの選手寿命が格段に延び、今なお活躍し続けられているベースになっているとはよく聞く話である。五十嵐をはじめ、川村卓也、竹内公輔、竹内譲次、山田大治、桜井良太、柏木真介、そして折茂武彦と当時の日本代表12人中8人が今なお現役としてBリーグのコートで活躍している姿が何よりの証拠だ。
五十嵐が三度この賞に選ばれれば、殿堂入りにしようという話になった。来シーズン、ユニバーシアードで世界4位になった黄金世代が、ついにこの賞の対象となる35歳を迎える。MVPの竹内譲次やBリーグ3シーズン連続60試合先発出場を果たす岡田優介がライバルになりそうだ。
映像提供:バスケットLIVE
文 バスケットボールスピリッツ編集部
写真 安井麻実