※本記事はバスケットボールスピリッツのWEB化に伴う、2018年7月末発行vol.23からの転載
ルーキーの当たり年とも言われた昨シーズンは、関野剛平、川邉亮平(ともにレバンガ北海道)、安藤周人(名古屋ダイヤモンドドルフィンズ)、今村佳太(新潟アルビレックスBB)、満田丈太郎(横浜ビー・コルセアーズ)、高橋耕陽(滋賀レイクスターズ)、馬場雄大(アルバルク東京)、外国籍枠のハッサン・マーティン(琉球ゴールデンキングス)まで数多くのルーキーたちが新たな舞台で躍動した。が、その中でシーズンを通してもっともチームに貢献した存在は?と聞かれれば、迷わず京都ハンナリーズのポイントガード『伊藤達哉』の名前を挙げたい。
よく「バスケットは経験のスポーツだ」と言われるが、とりわけゲームを組み立て、流れをつくるポイントガードは〝経験値〟が求められるポジションだ。移籍、引退で5人ものガードが抜けた背景があったにせよ、初戦から先発を任された伊藤にプレッシャーがなかったといえば嘘になるだろう。開幕間もない10月初旬に千葉ジェッツふなばしと対戦したときには、マッチアップした富樫勇樹について「これまで経験したことがないスピードとフィニッシュまで持っていく決定力に正直、圧倒されました」と、語っていたが、それは取りも直さず『Bリーグのレベルに圧倒された』一言だったかもしれない。また、苦笑まじりに吐露したのは「外国籍選手が思うように動いてくれない」というもどかしさだ。ただ「たぶん、まだ自分が信頼されていないということでしょう」と、語る口調に暗さはなく、「それはこれから勝ち得ていくしかないですね。ずっと舐められているわけにはいきません」と続けたことばには、持ち前の負けん気の強さがのぞいた。