東京体育館で開催中の「ウインターカップ2013」は連日熱戦が繰り広げられ、いよいよ大詰めを迎える。28日(土)に女子決勝、翌29日(日)に男子決勝が行われるが、“高校バスケ 頂上決戦”──このキャッチコピーに違わぬハイレベルの試合になるはずだ。超満員の観客からは惜しみない拍手と大声援が送られ、年末のビッグイベントは大いに盛り上がるだろう。
この時期、千葉県で「もう一つのウインターカップ」とも言うべき強化試合が行われているのをご存知だろうか(一部では「裏ウインターカップ」とも!?)。すでに6回目となるので関係者には知れ渡っているが、『年末強化試合 in CHIBA』がそれだ。今年も12月25日(水)から30日(月)までの6日間、4つの高校(幕張総合、市立船橋、市立稲毛、東海大浦安)を会場に実施されている。
27日(金)は期間中最多の45試合が組まれ、10面のコートをフル活用。「表」のウインターカップで戦っていた金沢や中部大学第一、四日市工業なども参加するなど、新チームの腕試しにはもってこいの場となっている。発起人の一人であり、千葉県協会競技力向上委員長(ヘッドコーチ)の飯沼加寿夫教諭(U-16日本代表アシスタントコーチ)に経緯などを伺った。
「私がここ(幕張総合)へ転任した年から始めました。千葉国体を控え、千葉県の強化を考えてスタートしたんです。これまでのつながりを生かし県外のチームに声を掛けましたが、最初は20チームぐらいだったでしょうか。今年は60チームぐらいになっています」
千葉という立地の良さがあり、東京開催のウインターカップに出場したチームが参加するケースが増えてきた。
「負けた日に連絡が入ることもあります。『じゃあ、明日から来てください』と受け付けますが、対戦カードの変更は大変。担当の相田先生(貴史/県立八千代)が担当ですが夜なべ仕事です(笑)。例えば、ウインターカップ初出場でこの強化試合に参加したいとなれば、前回の参加チームに相談していただき、そのチームの了解が取れればいいですよ、というスタンスなんです」
高校生の強化には他県のチームとの交流が不可欠だ。参加するチームにとっては、一度の遠征でいろいろなチームと対戦でき、メリットは大きい。
「迎える我々も『チーム千葉』という考えがあって、県内の高校がひとつにまとまって強化をやろうという考えがありました。より成果が期待できる『強化試合』になるので、県外からの参加はウェルカムです」
趣旨に賛同するチームの輪が広がり、「裏ウインターカップ」として認知されるまでになった。「ここで試合をしたチームがウインターカップに出場し、また戻って来てくることも……“僕たちはここが出発点だったので、ここで終わります。また、新チームがここからスタートします!”という言葉を聞くと嬉しいですね。高校生たちが切磋琢磨して成長してくれる。それが一番の喜びです」
最終日の30日までに200試合近くが組まれている。新たなスタートを切る選手たちは、ここで存分に“ぶつかり稽古”(飯沼先生曰く)をし、ひと回りもふた回りもたくましくなって地元に帰り、来冬のウインターカップ出場を目指すのだ。
文・羽上田 昌彦(ハジョウダ マサヒコ)
スポーツ好きの編集屋。バスケ専門誌、JOC機関紙などの編 集に携 わった他、さまざまなジャンルの書籍・雑誌の編集を担当。この頃は「バスケを一歩前へ……」と、うわ言のようにつぶやきながら現場で取材を重ねている。 “みんなでバスケを応援しよう!”を合言葉に、バスケの楽しさ、面白さを伝えようと奮闘中。