ファンは学生スポーツのどういったところに惹かれるのだろうか。
最後の学年に懸ける上級生の鬼気迫るプレーだろうか。
鮮烈な活躍でシーンに躍り出る下級生の登場か。
いや、上級生も下級生もない、一度しかない学生時代を競技に捧げた選手が見せる、ひと時の輝きだろうか。
高校でも大学でも、卒業後トップレベルで競技を続けない選択をする選手にとっては、本気で競技に打ち込む時間は「今しかない」のだから。
バスケットでも、インカレが「本気でバスケをする」最後の舞台だ、という選手が少なからずいる。
学生時代という一時期に競技にかける選手の姿が、見ている者の胸を打つのだろう。
かくいう筆者も、上級生がチームの伝統を受け継ぎながら積み重ねてきた時間や最後のインカレにかける決意、そしてそれを目に焼きつける下級生というストーリーには、やはり胸を熱くさせられてしまう。
結局は思いの純粋さなのか。
プロのアスリートだって一戦に懸ける気持ちが弱いはずはないが、純粋さという意味では学生のそれとはやはり違うように思う。
インカレ最終日の12月16日、場所は大田区総合体育館において男子3位決定戦〈筑波大学対日本大学〉と、男子決勝戦〈東海大学対専修大学〉の二試合が行なわれた。
どちらも熱戦だった。
現行のチームでやる最後のゲームだ。笑って終えるために、後輩に何かを残すために、先輩に勝利を贈るために。
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