体育館は、競技をする人のためにある施設。
アリーナは、観戦する人のためにある施設。
日本には体育館は多いが、アリーナは少ないという現実。
スポーツを産業にしていくという概念がようやく芽生え始めてきた昨今、日本のバスケットボール界におけるアリーナ不足という課題はまさに過渡期を迎えている。
観戦する人のために作られた施設が少ない日本においては集客も演出も一苦労だ。B.LEAGUEの殆どのチームが体育館での興行を強いられており、そんな条件下でもブースターの皆様により楽しんでもらおうと、創意工夫をしているのが現状だ。
B.LEAGUEはミッションとして『夢のアリーナの実現』というものを掲げている。そうは言ってもいきなりアリーナが全国各地に出現するわけもなく、一歩ずつ実現に向けて働きかけていく以外の近道はない。
そもそも、夢のアリーナとは…?
分かりやすい例を挙げるのならばNBAのアリーナだろう。
アメリカでは1~2万人規模のアリーナはいたるところに存在している。民間運営が多いため当然のことながら商業利用を前提に建設、運営されている。一方で日本の場合は、商業利用を目的とせずに行政主導で建設、運営されている施設が多く、年間通じて30試合以上もホームゲーム開催が必要なB.LEAGUEの各チームにとっては、施設確保の時点から融通が利きづらく、課題は多い。仮に施設利用日を確保できたとしても、演出で重要なLEDビジョンを設置できない、そもそも電力が足りない、収容人数最大化に必要なひな壇を設置できない、会場内で広告を表示することができないなど、興行する上での制約が多いのも夢のアリーナに向けては大きな弊害である。今までそんなこと必要とされてこなかったのだから、しょうがないといえばしょうがない。ただ、我々が理想とする夢のアリーナに向けてはどうしても必要なのだ。
2万人近い収容人数に、大型のLEDビジョンに映し出される映像演出。楕円形の構造を取り巻くリボンビジョンが、暗転したアリーナ内を照らす。バスケットコート一面を使ったプロジェクションマッピングによる選手紹介。ハーフタイムには、アーティストによるライブショーがあり、バスケを観戦しに来たのに音楽ライブも見ることができる。
こんな『非日常』な3時間を提供する空間。
NBAが実際に日々提供しているサービスクオリティ、これがバスケットボールにおける夢のアリーナのひとつの形であると思う。国土の広さも文化も違う日本が、そのまますべてアメリカの模倣をすれば良いということでは当然ないのだが、いかにして世界トップクラスに近づけるようにするか?という観点は世界的なリーグを目指すB.LEAGUEにとっては、非常に重要なことだと考える。まずは、国内でフラグシップモデルを作り上げることが重要である。
現在、沖縄市では2020年度内を目標に1万人規模のアリーナ建設が進んでいる。琉球ゴールデンキングスのホームアリーナとして、年間約60日程度の稼働を前提に進んでおり、他にも音楽ライブや展示会など様々な形で商業利用化を目指している。年間通じて数億円規模の収益化が見込めれば、国内アリーナ建設は加速するかもしれない。
過渡期だからこそファンが出来ること。まずはいま応援しているチームのホームゲームを毎回満員にできるように試合に足を運ぶこと。
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MAKE B-BALL MAJOR
文・平将貴
B.LEAGUE、NBA、日本代表、3×3、ストリート、学生バスケ。「すべてのバスケファンが集まるプラットフォームアプリ」 ”NATIONS” を運営する株式会社NATIONSの平将貴社長からスポーツビジネスの最前線にまつわる連載コラムの寄稿をいただきました。月1回更新予定。この記事はバスケットボールスピリッツフリーペーパーでの連載を転載しています。
株式会社NATIONS 代表取締役社長 平将貴
Twitter: @Masataka_Taira
グリーやメタップスなどITベンチャーでの幅広い経験を活かし、スポーツビジネスに参入。日本のバスケットボールビジネスを底上げすることをミッションとして奔走中
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写真・安井麻実