3月に掲載したNFLのチアリーダーに挑戦する本田景子さんの記事『夢を追う人』を読んでいただけただろうか。本田さんは高校生のときからチアリーダーにあこがれて、独自にダンスの練習を重ねることで日本のトップチアリーダーとなった。だが、その胸に秘めていた夢はいつかアメリカに渡り、世界の最高峰と言われるNFL(ナショナルフットボールリーグ)のチアリーダーになること。過去に一度挑戦したときはセミファイナルで涙を飲んだが、そこからまた精進し、35歳となった今年再度のチャレンジを試みた。
その結果、フロリダ州ジャクソンビルに本拠地を置くジャクソンビル・ジャガーズ(Jacksonville Jaguars 通称JAC)のチアリーダーのオーディションに見事合格。VISAが取れ次第アメリカに居を移し、来年の3月末までJACの一員として活動する暮らしが始まる。あきらめることなく自分の夢を追い、その手でしっかり夢をつかんだ人。求め続けたあこがれの舞台で本田さんが踊る日は近い。
――合格おめでとうございます。ついに夢を叶えられたのですね。
ありがとうございます。今回のチャレンジをバスケットボールスピリッツさんに取材していただき、記事として紹介していただいたことはすごく励みになりました。
――今回のオーディションはいつごろ、どのように行われたのでしょう?
スケジュールとしてはまず4月12日にPREP CLASS、そのあと1st(1次選考)が4月14日、そこで合格した者が同じ日にSEMI FINAL(2次選考)を受け、そこを通過すると4月18日にINTERVIEW(面接)、そして、そこを通ると、いよいよ4月21日のFINAL(最終選考)となりました。
――スケジュールをお聞きしただけで狭き門だということがわかります。オーディションはどのような内容だったのでしょう。
1stではまず自己紹介をして、キック、スプリット、シングルターン、規定のダンスを踊ります。SEMI FINALではまた自己紹介をして、キック、スプリット、ダブルターン、規定のダンスを披露。INTERVIEWでは自己紹介と志望の動機などを英語で話しました。そして、FINALでは自己紹介のあと、キック、スプリット、ダブルターン、規定のダンス、最後にフリーダンスを踊りました。
――あたりまえですが、1次選考から2次選考、最終選考と進むたびにふるい落とされていくわけですよね。緊張の連続ですね。
はい、1stで100名ほどいた受験者がSEMI FINALでは64名になり、そこでまた47名に絞られ、FINALを通過して最終的に合格したのはベテラン23名、ルーキー11名の計34名でした。日本人は私だけです。
――いくら事前に勉強していったとはいえ、やはり英語では苦労なさったのではないですか?
そうなんです。自己紹介やインタビューは何度も何度も練習して行ったんですが、ディレクターの英語がちゃんと聞き取れないときがあって、そこは大変でしたね。その都度近くにいる人に聞いて、内容を確認することでなんとかクリアできました。ほんとにホッとしましたね(笑)
――アメリカに滞在中はホテル住まいだったのですか?
そうです。ずっとホテル暮らしで、移動はウーバー(日本でいうハイヤー)だったのでお金がかかりました(笑)。あと、食事と洗濯が思うようにできなかったことが苦労した点ですね。
――今後の活動スケジュールは?
向こうでの練習はすでに始まっているので、VISAが取れ次第すぐに渡米します。住む場所はまだ決まっていませんが、できればホームステイをするかシェアハウスを利用したいと思っています。そこからせっせと練習に通い、自信を持ってシーズンを迎えたいですね。
――最後にNFLチアリーダーとして活動する意気込みを聞かせてください。
とにかく経験する全てを吸収する気持ちで臨みます。また、日本とアメリカの架け橋になり、チームに貢献できればと思っています。今回自分がNFLの舞台に立てたことが日本のチアリーダーの皆さんに刺激とか、希望とか、小さくてもいいから何かしら良い影響を与えられたら幸せですし、そうできるようSNSでもいろいろ発信していくつもりです。本田景子、35歳、この1年夢の舞台で精一杯頑張ってきます!(笑)。これからもどうか応援よろしくお願いします。
文・松原貴実 写真提供・本田景子さん