「第1ピリオドはオフェンスの足が止まり、守っても相手のオフェンスにアジャストできなかった」(JX・佐藤清美ヘッドコーチ)という重い出だしで、15-16とリードを許したものの第2ピリオド以降は本来のリズムを取り戻し、宮澤夕貴のアウトサイド、渡嘉敷来夢のインサイドを中心に着実に加点。最後までデンソーに反撃の糸口を与えることなく女王の強さを見せつけた。レギュラーシーズンでトヨタ自動車アンテロープスに1敗を喫したJXは、その敗戦を「いい意味での危機感となった」(佐藤ヘッドコーチ)、「余計なプレッシャーがなくなった」(吉田亜沙美キャプテン)とプラス材料に変換、それが今大会の3試合全てに20点以上の差をつける堂々たる戦いぶりにつながったとも言えるだろう。が、連覇を“5„に伸ばした後も吉田は「うちは決して強くないチーム」と言って憚らない。優勝直後にも関わらず「決勝戦での入りの悪さ」、「リバウンドで負けている」など反省点を挙げる選手の声もまた『その先を目指すJX』を象徴しているかのようだった。
一方のデンソーは、新人が7名という若いチーム。「正直、今の段階で自分の役割を果たせているのは高田真希だけだが、この経験を糧に第2、第3の高田が育ってくることを期待している」と、小嶋裕二三ヘッドコーチ。大黒柱として27得点と奮闘した高田もまた「若い選手たちにとって決勝の舞台を経験できたことは大きい。この経験を生かすためにもまた自分が先頭に立って練習を頑張っていきたい」と、前向きに語った。今週末(13日、14日)から再開するWリーグ。そこで再び顔を合わせる両者の戦いにも注目したいところだ。
皇后杯決勝 JX-ENEOSサンフラワーズvsデンソーアイリス
文・松原貴実 写真/キャプション・吉田宗彦