日立サンロッカーズ東京は、NBLへとリーグが変わった今シーズンより体勢を一新。8年間に渡って指揮を執って来た小野秀二 元ヘッドコーチが退任し、イギリスからやって来たティム・ルイスヘッドコーチを新たに迎えた。昨年のロンドンオリンピックでは地元イギリス代表のアシスタントコーチを務め、2004年に行われたキリンカップではイングランド代表のアシスタントコーチとして来日経験がある。
「日本代表戦を見ていたので、能力のある日本人選手がいることは分かっていましたし、とてもハイレベルなリーグだと思っていました。それに日本でプレイしている外国人選手のレベルが高い」
これが、来日前にルイスHCの中にあった日本の印象である。
情報が無いまま来日したルイスHC
実績ある外国人ヘッドコーチが日本を変えてくれるのではないか、と少なからず期待してしまう。同時に、世界のマーケットに乗らない日本人選手のことをどれだけ分かってやって来るのか、という疑問も抱く。現状は、実績があってもなかなか結果を出せずにおり、それも来日前の情報が少なすぎるため、フィットするために1シーズンを費やさねばならないのが原因ではないかとさえ感じる。ルイスHCもまた、来日前に新たなる職場の状況を熟知してはいなかった。
「確かに来る前は、日本人選手に関してそこまでは分かっていませんでした。選手の経歴やスタッツとかは、向こうにいるとなかなか分かりづらかったのは事実です。(ドナルド)ベックHC(トヨタ自動車アルバルク東京)に連絡をして情報を聞いたりしていましたが、そこまで詳しく分かった上で来日したわけではありません」
海外組が9割を占めるサッカー日本代表であれば、外国人ヘッドコーチでも容易に戦術をシミュレーションできるが、バスケ界はそうはいかない。
開幕から1ヶ月が過ぎ、サンロッカーズは1勝7敗(10月20日現在)。チームを作ったばかりなので、この結果も必然なのだ。第4節目を迎えた東芝ブレイブサンダース神奈川戦は、手応えを感じたであろう試合となった。今シーズン、キャプテンを努める#28酒井泰滋に今の状況を伺った。
「これまでの試合内容がちょっとひどすぎて、戦う以前の問題でした」
見ている側から言っても何がしたいのか分からず、サンロッカーズのバスケスタイルを見出せずに終わっていた6試合は、やはり選手たちも混乱していたようだ。
「そんな状況でしたので、選手としてももっと改善できる点があるのではないか、とミーティングしてから臨んだのが今日の試合(10月19日のブレイブサンダース戦)だったので、ちょっと先が見えた…とまでは言えませんが、今日のような試合を続けて行くことで見えて来るものはありました。次につながる試合ができたし、今日のような試合を続けていかないと、ですね」
新たなるサンロッカーズスタイル
「ガード陣(#9西村文男、#7伊藤駿)は速いので、それがうまく機能すればチームとしてもうまくいく」と、一つのストロングポイントを挙げた酒井。
良い流れができリードしていた時間帯はどんどんボールをプッシュし、躍動感溢れるオフェンスを見せていた。さらにディフェンスでは前線からプレスを仕掛けていく。これがルイスHCが求めるバスケなのだろうか?
「日本におけるバスケスタイルはハーフコートバスケットが多いなと思う部分がありました。今回、就任するに当たりオールコートで走るバスケットをしていきたいと思いながら、いろいろと考えては来ました。オフェンスではもっと走らせたいし、トランジションの中で良い状況判断をさせていきたい。ディフェンスはアグレッシブにボールにプレッシャーをかけ、チェンジングディフェンスで相手を翻弄させることを求めており、今日の試合ではできていました。それが勝つチャンスが最後まで続いた要因でもあります」
酒井にも同じように新しくなったサンロッカーズスタイルを聞いて見た。