NBLオールスターゲームは、昨年に続きWESTが勝利を収め、終了した。記者会見などで様々なコメントを残してくれた選手やコーチたち。まずは、勝利チームを率いた佐古 賢一ヘッドコーチ(広島ドラゴンフライズ)の総括からご紹介していこう。
「みなさん見ての通り、(アマット)ウンバイ選手が一人奮闘してくれて、勝利を導いてくれたと思っています。今日、高校生選抜ドリームゲームも見ましたし、トップリーグも見ましたが、やっぱりこのレベルになるとこちらが何を言わなくても、勝負がかかってくれば真剣になり、負けず嫌いの集まりだなと思わされました。オールスターのヘッドコーチを初めてやらせていただきましたが、自分も観客同様に楽しく見ていましたし、また勝負がかかっている以上は負けるのもイヤなので、真剣な場面も見せられたと思います。こういうお祭りにファンと一緒にテンションを上げられたことで、後半戦に向けてしっかり気持ちを切り替えることができましたので、非常に良い経験をさせてもらいました」
オールスターゲーム前に行われたダンクコンテストを制し、本戦では44点を挙げてMVPを受賞したアマット・ウンバイ選手(三菱電機ダイヤモンドドルフィンズ名古屋)。
「リーグトップクラスの素晴らしい選手たちと一緒にプレイすることができ、良い刺激を受けることができました。とにかく楽しかったです。佐古HCが仰ったように競争心が高いメンバーばかりなので、負けたく無い気持ちが強かったです。自分は練習でも、オールスターでも、何でも負けるのは嫌いですので、今日は勝つことができて良かったです。勝てたからこそ、楽しかったです」
敗れたEASTを率いた北 卓也ヘッドコーチ(東芝ブレイブサンダース神奈川)。
「ウンバイ選手にやられました。NBLで対戦する時は、いろいろ準備してもやられてしまう素晴らしい選手なのに、今日はあまり準備できないまま、好きなようにやられてしまいました。44点を挙げ、本当に素晴らしい活躍でした。終盤に追いつこうとしましたが、3Pシュートを49本(うち15本成功)も打っていましたので、(リバウンドを拾われ)そこから走られてしまったところがありました。私も初めてオールスターのヘッドコーチを務めましたが、プレイングタイムだけを気をつけながら見ていました。そこのコントロールも難しかったです。ケガをさせてもいけないですし、なおかつアグレッシブにさせなければいけないと思っていましたが、コートに出た選手たちは一生懸命がんばってくれました。昨年に続いて負けたことは悔しいですが、今週末からリーグは再開するので、各チームに戻って日本のバスケのためにまたみんなはがんばってくれると思います。今後も切磋琢磨していきたいです」
11アシストでチームメイトを光らせ、観客を酔わせていった田臥 勇太選手(リンク栃木ブレックス)。
「普段戦ってるメンバーと一緒のチームで戦えたことは、プレイしていても楽しかったです。シュートが上手い選手もいれば、ダンクがすごい選手もおり、普段味わえないプレイを今日は味わえて良かったです。ただ、ウンバイ選手を止められなかったことは、ロッカールームに帰ってからもそれだけはみんなにとって反省点でした。でも、良い試合ができて良かったです。ありがとうございました」
3Pシュートコンテストを制した金丸 晃輔選手(アイシンシーホース三河)は、JBL時代から数えて4年目にして、ようやく楽しむことができたようだ。
「これまでは緊張して何もできなかったですが、今年は本当に心の底から楽しめました。(辻 直人選手/東芝神奈川との3Pシュート対決は)入れられたら悔しい部分はあるので、入れ返してやりあいになるのは僕自身も楽しかったです。(3Pシュートコンテスト優勝について)4年目でやっと獲ることができました。今まで何度もチャンスはあったのですが、ようやく獲れてうれしいです」
ファンに向けた感謝の言葉
笑顔で終えた夢の祭典だったが、実際にその日を迎えるまでは「こんなご時世にオールスターなんてやってていいのか?」そんな思いが各所から聞こえてもいた。
NBLオールスターゲーム開催が発表されたのは10月。国内に並列状態で2リーグがあることを初めとしたJBAの統治問題だけが、バスケの話題としてマスコミに取り上げられていたのと同じ時期である。
しかしその心配は杞憂に終わり、大田区総合体育館を埋め尽くすファンが足を運んでくれた。そこには感謝の言葉しかない。
佐古 賢一ヘッドコーチ(広島)
「いろいろと暗いニュースが多い中、オールスターというお祭りに、これだけ多くのファンが会場に足を運んでいただいて声援を送ってくれました。こういう環境がある選手たちは、自分たちのパフォーマンスで外に向けて発信することが大事です。ここから一つずつ階段を上り、バスケットの信用を取り戻すために、今できることを選手、スタッフたちはがんばっています。悪いことに対して中傷していくことは簡単なことですが、良いものを見つめ、自分たちが今まで信じてやってきたバスケットをファンの前で見せられる、こういう環境をまた作っていただける、そういうこと全てに感謝して我々はできることをしっかりやっていくだけだと思っています」
北 卓也ヘッドコーチ(東芝神奈川)
「現場はもうプレイするだけです。選手たちには、観客の皆さんが『おぉ〜』と声が出るようなプレイを見せて欲しい、自分の得意なプレイで楽しませて欲しいと話しました。最初の金丸選手(WEST#14)と辻選手(EAST#14)の対決……若干、東の14番は入ってなかったですけど(笑)スーパープレイがたくさんあったと思います。リーグ戦と真剣さは少し違いますが、オールスターを見てバスケットが楽しいと思ってくれれば幸いですし、スタッフ、コーチ、選手もプレイするだけなので今後も努力してがんばりたいです」
#0 田臥 勇太選手(リンク栃木)
「今日、会場にたくさんのお客さんが集まり、自分たちのプレイを観に来てくれましたが、プレイヤーとしてはバスケットの楽しさを魅せることを心がけました。レギュラーシーズンとは違いますが、僕たち選手は真剣に楽しいところを魅せようと思って取り組んでいました。バスケットの楽しさをこれからも伝えたいですし、選手として伝えていくべき責任があると思っています。またリーグ戦もこれから後半戦が始まるので、オールスターとは違った真剣さ、勝負の楽しさや厳しさを我々プレイヤーがコートの上で、たくさんのバスケット好きのファンの方に魅せることが自分らがやるべきことであり、できることだと思っています」
NBL/NBDL後半戦へ向けて
前日のDAY1を盛り上げた選手たちは、来年こそメインイベントに立つためにも後半戦から負けられない。
「オールスターの場に立てたことで、お客さんに少しでも恩返しができたかなと思います。もちろん本戦にも出たいですが、オールスターという舞台に出たのも初めてだったので、今年は耐えます」と話していたのは3×3 UNPLUGGEDで優勝したTEAM NBLの野口 大介選手(レバンガ北海道)。初めての3×3は刺激も多かったようであり、「これを機に新たなきっかけがつかめたと思うので、ストリート魂でチームに貢献できるようにしたいです」と後半戦へ向けて意欲を見せた。
同じくTEAM NBLのメンバーであり、千葉ジェッツからつくばロボッツへレンタル移籍を決めた一色 翔太選手。新天地で迎える後半戦へ向け、「レンタル移籍したわけだから、ロボッツで活躍できなかったらダメだという気持ちを持っています。1勝、2勝とは言わず、ずっと勝てるように貢献したい気持ちが一番強いです。能力の高い外国人選手が揃っているので、そこをうまく使っていけるようにしたいです。自分のシュートや個性を出し、ロボッツに無い部分を注入しながら貢献できるようにがんばります。ロボッツは伸びしろしかない良いチームだと思っているので。快く送りだしてくれたジェッツのためにも、活躍している姿を見せることが一番大事です」
オールジャパンでは、NBLチームと台頭な戦いぶりを見せたNBDLのチームたち。育成リーグとしてNBLの下に位置しているが、集客面や盛り上がりで凌駕したって何も問題は無い。ポテンシャルがあることは示せたのだからこそ、後半戦はさらに盛り上げてもらいたい。
#1 鮫島 宗一郎(パスラボ山形ワイヴァンズ)
「ワイヴァンズは山形で盛り上がってます。それをもっといろんな人に知ってもらいたいですし、そうすることで来年のオールスターにも呼んでもらえるようになると思ってます。後半戦も応援よろしくお願いします」
#16 坂本 健選手(豊田通商ファイティングイーグルス名古屋)
「現在2敗しており、2位というポジションなので、これからは1つも負けずにリーグ戦1位通過して、優勝して有終の美を飾りたいです。僕はダンクだけですが、それを観に来てくれるだけでも十分です」
#32 狩野 祐介選手(東京エクセレンス)
「NBDLはちょっと人気が少ない部分があるので、もっと人気を上げて、NBLとともにお互いに精進して、バスケットをもっとメジャーにしたい。いろんな問題もありますが、そこもうまくまとめてもらい、テレビで普通に見られるような環境にしたいので、そのためにもまずは自分たちががんばらなければいけないと思っています。今、ありがたいことにNBDLの首位にいるので、しっかり1位通過し、2連覇を目指します」
高校生ドリームゲームの舞台に立った選手たちも、NBLは憧れの舞台である。そのうちの一人、U-17日本代表のキャプテンを務めた前田 悟選手(県立山形南)もそうだ。
「将来はNBLでプレイたいと思っているので、またこの舞台に帰って来られるようにがんばります」
NBLは早くも1月21日(水)から、NBDLは週末1月24日(土)からチャンピオンを目指す熱戦が再開する。
笑顔のオールスターゲームだったが、真剣だからこそ見られる笑顔だって多いものである。会場でともに戦い、さらなる笑顔でバスケット界を盛り上げて行こう。
泉 誠一