「結局、やりやすいバスケットをしているだけ。バスケの基本は2on2から2on1の状態を作り、いかにノーマークでシュートに行くか。それをやるべきですが、今の日本は全体的に何も仕掛けず、ボールをクルクルと回しながら結局シュートを投げるだけ。うちの選手たちが小さいから簡単に打てているだけですよ。全体的にレベルダウンしていると感じていますし、とても心配です」
43年ぶりに女子日本代表がアジアNo.1になったのは、渡嘉敷来夢(JX-ENEOSサンフラワーズ)ら大型選手が台頭した成果でもあるのではないかと反論をしてみたが、あっさり返り討ちに遭う。
「それも同じこと。世界に出れば日本は小さく、体も弱い。アメリカ人やヨーロッパ人を相手にしたら何もできなくなりますよ。それを私は心配しているんです。どうしたら大きい選手を引き出して得点できるか、ゲームに勝てるかをこのリーグから考えてプレイしていかなければいけません」
韓国からやってきた林ヘッドコーチが心配していること、山梨が来シーズンを見送らなければならない状況になったこと。この2つから見えるのは、WJBL自体が変革期に来ているのではないかということ。
取材をした3月22日の山梨市民総合体育館では、約700人が観戦をした。いつもの倍近い集客だと言う。そのうちの大多数が子供たち。チケット売上も収入源としなければならない母体企業を持たないクラブチーム。それは、新潟アルビレックスBBラビッツや羽田も同じ。このようなクラブチームを受け入れるならば、同じ轍を踏まないためにも問題視し、環境改善が求められる。
アジアNo.1になったヒロインたちの主戦場だからこそ、もっと激しく、もっと楽しく、もっと盛り上がってもらいたい。男子ではなく、女子がバスケ界をリードしても良いはずであり、そのポテンシャルは日本には十分にある。
文 泉誠一