チームが確かな進化を見せた中、個人としては順風満帆というわけではなかったと三好は感じている。しかし、思い悩んでは原点に立ち返り、地道な努力を怠らなかった。GAME1の躍動はその結実だ。
「正直なことを言うと、シーズンの途中は結構苦しいこともあったなという印象なんですけど、その中で自分に何ができるのかということを見極めて、ベンチにいてもできることがある、試合に出たら自分の強みを発揮することを考えてきました。何度か葛藤もあったんですけど、バスケットが楽しいからこの世界に入ったので、一番大事な本質だけは忘れずにやっていこうと思って、今日こういう結果を出せたのも今まで踏ん張って努力してやってこれたことが良かったと思ってます」

GAME2に敗れ、勝ったほうが来シーズンをWプレミアで戦うことになるGAME3は、前半に得た1点リードを第3クォーター終了時点でも維持していた。昇格を手の届くところまで引き寄せていたが、最後の10分はアイシンの気迫が山梨を凌駕。坂本雅というXファクターが現れたことも、山梨にとっては痛かった。
試合後のチームミーティングを終え、泣き腫らした目で「試合内容だけを見たら自分たちが勝てた試合。流れが来てたのにつかみきれなかったのが本当に悔しい」と言葉を振り絞った三好だが、自身のキャリアにおいては大きな価値のある一戦でもあった。Wリーグのキャリアで初めてのスターター出場が、入団以来最大の大一番と言っても過言ではないこの試合で実現。そんな状況でも気負うことなく、「楽しんで、自分らしくやるだけ」と良いメンタリティーを保っていた三好は27分35秒もの出場時間を与えられ、GAME1のみならずGAME2でも発揮したアグレッシブなプレーを再三にわたって披露した。アイシンに坂本がいれば、山梨には三好がいたのだ。
三好は、対戦相手から大きな刺激を受けることもできた。東京医療保健大時代に練習試合で数回の対戦があり、2023年には埼玉県バスケットボール協会主催のイベントで共演もした渡嘉敷が、試合を通してアイシンを鼓舞し続け、運命が決まる最後の10分間に試合を大きく動かした。間近で体感したそのカリスマ性は、三好にとって選手としての指針となるものだった。
「今までで一番のプレータイムを貰ったり、大事な経験をさせてもらったし、自分にマッチアップしてくれてたのが渡嘉敷さんで、今後のキャリアに向けていろんな学びを得られた試合でした。そこを無駄にすることなく自分の成長につなげられるように、来シーズンもしっかりやっていきたいと思いました。自分ももう中堅なので、渡嘉敷さんのように若手に背中で見せられるようにアウトプットしたり、プレーでファイトして伝えていけたらと思ってます」

山梨は来シーズンもWフューチャーで戦うこととなったが、アイシンをここまで追い詰めることができた以上、ファンや地域の期待はより大きくなり、他チームからターゲットにされることも覚悟しなければならない。そういったプレッシャーの中でも勝ち進む強さを携えていく必要があるが、その点で三好はチームに対して自信を持っている。三好個人としても、Xファクターにとどまらない存在へ飛躍していくことを期待したいところだ。
「チームとして優勝というのは変わらないと思うんですけど、その中で一戦一戦、目の前の試合が本当に大事になると思います。さっき相手の監督さん(BT テーブスHC)からも『チーム力すごかったよ』ってお言葉を貰って、やっぱりそれがクィーンビーズの良さだと改めて思ったので、またそれを発揮していけたらもっと強くなると思います」
文・写真 吉川哲彦











