Wリーグディビジョン入替戦は今回もアイシンがWプレミアの座を守る結果となったものの、山梨クィーンビーズが見せた奮闘は大いに称えられるべきものだった。アイシンは平末明日香が負傷で欠場を余儀なくされたほか、野口さくらと高橋未来が3×3代表の強化合宿、渡嘉敷来夢とナヤ・ベッカーがワールドカップ予選のためチームを離れ、特に渡嘉敷とベッカーはこの入替戦直前に合流したばかりと難しい要素が多々あったことも確かだが、それでも下馬評はアイシンのほうが高かっただろう。第2クォーター中盤から波に乗り、26点差をつける大勝でそれをひっくり返してみせた山梨の戦いぶりは見事の一言に尽きる。
レギュラーシーズン最終週の連勝でWフューチャー2位に滑り込んだ山梨は、その後の1カ月余りの間に万全のアイシン対策を施してきた。際立ったのは、高さのある相手に対するチームディフェンスとボックスアウトの徹底。試合開始から5分近く無得点でも崩れなかったのは、準備してきたディフェンスのゲームプランを遂行できていたからだ。

「自分たちはサイズが小さいんですけど、一人ひとりが自分のやるべきことをしっかり体現できたことが勝利につながったと思います。試合前にサチさん(石川幸子ヘッドコーチ)が『今までやってきたことを出すだけだから』と仰ってて、それを全部出せたからこそ、この点差になったんだと思います」
このコメントの主、三好青花は途中出場ながら渡嘉敷や外国籍選手を上手く守りつつ、オフェンスでは3ポイント2本を含む8得点。「緊張は特にしてなくて、楽しむだけだと思ってたし、もちろんやるべきこともやるんですけど、何より、誰よりも楽しんでプレーすれば自分の持ち味が出せる、調子も上がってくると思って、そこは意識してやってきました」という言葉の通り、全てのプレーで思いきりの良さが目立った。ディフェンスで自身のリズムを作り、オフェンスに結びつけていった点は自身のスタイルとして思い描いていたものでもあった。
「ディフェンスが良いときはオフェンスの流れも良くて、シュートが入るときもあったので、それをこの大事な入替戦の初戦で発揮できたのは、今までしっかり準備してきて本当に良かったなと思いました。チームもそうですけど、まずディフェンスからというのは自分の個人的な強みでもあるので、ゲームチェンジャーとして流れを変えることができたんじゃないかって、自分自身でも手応えを感じてるところがあります」
アイシンは外国籍選手はもとより、渡嘉敷が193cm、野口が182cmとサイズでアドバンテージがある。山梨というチーム全体だけでなく、175cmでインサイドのディフェンスを任される三好個人にとっても高い壁のはずであり、過去の実績という点でも臆するところが出てしまいそうなものだが、チームにも三好にも立ち向かっていく姿勢があった。
「フューチャーには代表の選手が少ない中で、自分たちはチャレンジャーだとみんなが口を揃えて言ってて、失うものもないしアタックし続けるだけだと思ってました。相手に代表の選手がいるからとかではなく、自分たちならできるというマインドセットで臨めたことが良かったんじゃないかと思います」

2ディビジョン制となって初年度の昨シーズンは13勝12敗とギリギリでの勝ち越しだったが、今シーズンは17勝7敗と勝率が大幅にアップ。そこには様々な要因があるだろうが、三好が強く実感しているのはチームカラーが生んだ「一体感」だ。
「誰かに合わせるんじゃなくて1人ひとりが主体性を持って、自分の意見も言い合ったことでチーム力が昨シーズンよりも上がって、結果にもつながっていったと思います。後輩だから、先輩だからというのがない、クィーンビーズの仲の良さが強さになってるんじゃないかと思います。ちょっと言葉は良くないですけど一緒にバカもできるし(笑)、みんなで喜怒哀楽を共有できるチームだと思います」











