山梨に移籍して2シーズン目の上長にとって、この入替戦は単なる大舞台にとどまらない意味を持つものだった。6シーズン過ごした古巣との公式戦での対戦は、これが初めてのことだったからだ。心に期するものがあったことを考えれば、GAME1における活躍は必然だったのかもしれない。
「すごく特別な想いですね。6年間お世話になったアイシンとはこの2年間で一度も当たってなかったので、こういう機会を得られて戦えるのは嬉しいことでした。バスケットに関しては準備してきたことをやるだけなので、あとはせっかくの機会を楽しむだけでした。
入替戦というのもあって、山梨県からたくさんの方が応援に来てくれてるのはすごく力になりますし、アイシン側の席からも “上長美菜” の青いタオルを掲げてくれてる方々がいたので、自分にとってはどっちもホームな感じがして頑張れます」

企業チームと比較すると、山梨はバスケットに打ち込める環境も費やせる時間にも限りがある。移籍当初の上長はその環境に慣れることから始めたわけだが、チーム全体で決して言い訳することなく前向きに、そしてコツコツと取り組んできたことで地力がついたという実感も強い。山梨だからこそ得られた経験は、上長のキャリアにおいて価値のあるものだったに違いない。
「すごくギャップがあって、最初は難しかったんですけど、今シーズンのメンバーは移籍してきた人や新しい選手が増えて、バスケットのIQとかチーム力を上げられるメンバーが増えたし、このチームで1年間積み上げてくることができました。バスケットをする時間は短かったんですけど、その中でコミュニケーションをすごく大事にしてて、短い時間でどれだけ合わせられるか、自分たちのベストを毎回出せるかということをやってきて、それが今シーズンの良い結果につながったのかなと思います」
今シーズンの山梨はスターターの5人が大きく入れ替わることがなく、池田と片山菜々、ダラーメ マレム ドイの3人はレギュラーシーズン全試合でスターター起用されてきた。そのことで個々の役割がより明確になり、ベンチスタートの面々も効果的な仕事をしてきたが、それはWフューチャーのレギュラーシーズンよりレベルが上がるはずの入替戦でも体現された。上長も、多くの選手が役割を全うする全員バスケットのチームスタイルが根づいている感触を持つ。
「若い子たちがすごくハッスルしてくれてて、私は私でいろいろ考えながらプレーしてるんですけど、それが良い影響になってるかなと思ってます。入替戦という舞台も良い機会になりますし、若い子たちにとっても良い経験になる。これからもチャレンジャーとして戦っていきたいと思います」

結果的に山梨はGAME3に敗れ、Wプレミア昇格の目標を達成することは叶わなかった。しかし、GAME3も第3クォーター終了時では1点リードと、限りなく目標に近づくことはできた。この経験もまた、上長にとってはさらに大きな一歩を踏み出すための材料になるだろう。
文・写真 吉川哲彦











