選手のモチベーションを上げることやメンタル面のケアの重要性は、過去に5クラブでHCを歴任してきた小野寺AHCも重々理解しているが、20代前半の選手が多い三菱電機に来たことで、その点により目を向けるようになった。「ネガティブなことは試合でも練習でもたくさん起きるんですよ。その都度、良いアプローチの方法を僕も試されてる」と語る小野寺AHCは、改めてコーチとしてあるべき姿を追求しようとしているところだ。

「感情的なコントロールができない時間帯が長い選手がいたり、それが男子に比べて頻度が高かったりもする。感情の揺さぶりが大きいとやっぱりプレーにも出るし、それがチームにも伝染して、望んでいる結果でないものが自分たちに降りかかってくる。自分の感情をコントロールしたり、チームメートと協力して何かを成し遂げようとしていくことで、プレーの質も上がると思います。コアラーズは、頭での理解だったり真面目に取り組むこと、言われたことを素直に表現しようとする努力に関しては素晴らしい選手が多いんですけど、それができたりできなかったりという波が大きい。これを克服するとか完全な改善は難しいかもしれないですけど、波を小さくしていくことがこのチームには大事だなと感じます。まだこの世界ではわからないことも多い中で、チームの雰囲気を良くするために僕もコーチングをしていきたいですね」
小野寺AHCは、名古屋ダイヤモンドドルフィンズ代表と三菱電機GMに就任した東野智弥の協力もあり、2026年4月から早稲田大の大学院に進むことになっている。東野GMは、小野寺AHCが当時のJBL・さいたまブロンコスの練習生になったときにHCを務めていた人物。レバンガ北海道から三菱電機に身を転じたのも東野GMからの誘いによるもので、Bリーグよりシーズンが短いWリーグであれば、大学院にもほぼ支障なく通えるという点が決め手だった。そこで指揮を執ることになったのは想定外だったとはいえ、女子バスケットのポテンシャルを知り、自身のコーチングの追求にもより意欲が湧いている。
「選手は一生懸命やってくれますし、正直男子よりも女子のほうが楽しさはあります。Bリーグにも魅力はもちろんあるんですけど、バスケット自体の可能性は女子のほうが高い。遂行レベルという意味では、コアラーズはまだまだなんですけど、チームの成長というのも含めて面白さがあるなと感じますし、今は男子に戻りたいという気持ちもあまりないです。もうちょっと気楽な立場でやりたかったというのはありますけどね(笑)」

ここまでの話は全て、11月29日の日立ハイテク戦の際に聞いたものだ。49-75と大敗したその試合でも相手のレベルの高さを痛感していたが、翌日は72-60でリベンジ。しかし、その1カ月余り後には、さらに高いレベルを目の当たりにする。皇后杯ファイナルラウンドで対戦したENEOSは、東京オリンピック銀メダリストの3人を筆頭に日本代表経験者が居並び、この大会では最終的に優勝まで上り詰めることになる相手。前日は109得点で秋田銀行を退けた三菱電機も、ENEOSからは53点しか奪えず、25点差の完敗。小野寺AHCは開口一番、「ボロ負けです」と苦笑いを浮かべた。











