「キックオフミーティングでも、仕事をしているからバスケができない、逆にバスケをしてるから仕事が覚束ないというのは絶対にしたくない、ノーエクスキューズで頑張るよという話をしましたし、浸透具合としては一歩一歩着実にできてると思います。
選手たちの意識も変わってきてると感じます。私はありがたいことに代表チームでも活動させてもらいましたけど、その選手たちと比べると、うちの選手たちは練習前や練習後の時間の使い方がまだどうやったらいいのかわからないところがあるんです。そこで、あの選手はこうやってたよとか、こういうワークアウトもしたらいいんじゃないかとか、私が代表で見てきたことを話して、アシスタントコーチやスタッフとも連携を取りながら、ストレッチやケアといった体のモビリティーの部分も徐々にしっかりできるようになってきたというのはあります」

現実的に選手たちが仕事を抱えている以上、今野HCとしても多くのものを要求することに関しては「その難しさはもちろんゼロではないです」。ただ、仕事と並行してバスケットにも真摯に取り組む選手たちの日頃の努力や、アスリートとしての意識の高さを今野HCは惜しみなく称える。
「本当にすごいなと思います。自分もプロとしてこの仕事をやらせてもらっていて、勝ちたいというエゴだけでは良くないと思いながら周りとコミュニケーションを取ってる中で、私が『こうやりたい』と言ったことを選手たちは体現してくれますし、でも選手たちも『ここはこうしたほうがいいんじゃないか』と言ってくれたり、本気で向き合ってくれてると感じます。前からプレッシャーをかけるし、そこから走るので体力も必要。でも、選手たちは練習でもゲームでもひたむきにそこを頑張ってくれるので、もう本当に尊敬でしかないです」
選手の努力が功を奏し、ここまでは健闘しているSMBCも、いつかは壁にぶつかる。今野HCも「Wフューチャー優勝が目標ということは言ってきてますけど、そんなに簡単なものじゃない」とそれは織り込み済み。「これからゲームを重ねていくと、外国籍選手や留学生の高さにやられる可能性は大いにありますけど、その対策もしながら、それを凌駕できるように走るとか、やれることはたくさんある」と長いシーズンを見据え、まずは一戦ごとに全力で相手にぶつかっていくことを選手たちに求めていく。

実際に、第4週は日立ハイテクに大差で連敗。特にGAME2はなす術なく圧倒されてしまったが、新潟を連破した第3週GAME2の後、今野HCはこんなことも言っていた。参入1年目、チャレンジャーでしかないSMBCと今野HCの戦いは、まだ始まったばかりだ。
「チャレンジしてのミスは次につながる。『やるぞ』と決めて、その結果ミスが出たとしても、じゃあ次、また次と先に続いていくのであればどんどんやっていけばいいと思うんです。うちの選手たちは『やるぞ』という気持ちでコートに出ていってくれるし、こっちも『頼むぞ』と言って送り出してます」
文・写真 吉川哲彦











