一夜明けたGAME2は、勝てば優勝と昇格が決まる一方で、敗れると崖っぷちに立たされてしまうことに変わりはない。前日同様に必勝を期する一戦で、当然のようにスターターとしてコートに立った髙原だが、この日はスコアリングマシンと化した前日から一転して無得点に終わっている。これに関して、髙原は「実は……なんですけど」と裏側を明かしてくれた。
「1日目に頑張りすぎちゃって(笑)、2日目は歩くのもしんどくて。体の後ろ側全部、筋肉痛の強い版でちょっとした動きも痛いし、走るのなんてもう無理っていうくらいキツくて、あの試合は何もできなかったですね。正直、気持ちだけでコートに立ってたようなところはありました。それこそ、誰が出ても大丈夫というヴィッキーズの強さでみんなに救われた試合でした」
この試合は16得点を挙げた洪潤夏やイベ エスター チカンソ、13得点の岡田真那美といったベンチスタートの選手の活躍が光り、優勝と昇格を決めている。この2試合で髙原が特に強く感じ、「本当に圧巻だった」とまで言わしめたのは、ホームである大田区総合体育館の熱の高さだ。GAME1で1953人の入場者数を記録すると、GAME2はクラブ史上最多の3193人。この連勝は、圧倒的ホーム感を作り出したヴィッキーズファミリーの力によるものでもあった。
「1試合目の、ブザーが鳴った瞬間の歓声が360度から体に響いてくるような感覚で、頭で『勝った』って理解する前に歓声が聞こえてきて『勝ったんだ』ってわかった感じでした。ファンの人たちが抱き合ってるのも見たし、これがスポーツの良いところなんだなあって。ヴィッキーズのファンの人たちはどんなときも離れずに、熱心に応援してくださる方ばかりで、そのみんなが泣いて喜んでる姿を見て、頑張ってきて良かったなって一番思いました。振り返ってみて幸せだったなと思うことはたくさんあるんですけど、その場にいて無意識に幸せだと思うことってなかなかない。あの2日間はそれがあったんです」
得点のシーンで観客が沸くのは日常的な光景だが、三菱とのGAME2に関しては、ディフェンスで相手のターンオーバーを誘発したシーン、微妙なアウトオブバウンスでマイボールになったシーンなど、一つひとつのプレーに大歓声が起こった。その様子を「凄かった……」と感慨深げに思い出していた髙原にとって、強烈に印象に残っている一場面がある。
それは、試合開始のジャンプボール直後の出来事。ボールがティップされ、髙原を含む4人がディフェンスの態勢に入ろうとしていたところで、本橋だけがボールを取りに行き、そのままリングアタックしてファウルを貰ったプレーだ。これはチームだけでなくファンのスイッチも一瞬で入れた本橋の超ファインプレーであり、即座に反応したヴィッキーズファンも一気に場内の体感温度を上げた。
「あのプレーで私たちもノッたところがあるんですけど、ナコさんが行った瞬間の歓声が凄かったんですよ。『まだ試合が始まったばかりで、競ってもいないのにこんなに沸くんだ』って。これだけ心強いみんながいてくれたら今日は大丈夫だって思いましたね」