Wリーグオールスターは2日に分けて開催され、本戦以外の楽しみが多い点も大きな特徴だ。リーグ25周年という節目のシーズンだった今回は、ファンと有識者によって選出されたGREATEST 25の面々によるエキシビションゲームを実施。加藤貴子(元・シャンソン化粧品)は残念ながら参加できなかったものの、1996年のアトランタや2004年のアテネに出場したオリンピアンも数多く名を連ね、オールドファン感涙必至の面々が大集結した。なお、チーム分けは東軍がジャパンエナジー勢に三谷藍(元・富士通)を加えた12人、それ以外のチームに在籍したOGが西軍となった。なお、ジャパンエナジーはその後4度にわたってチーム名が変わっているため、ここからは便宜上 “サンフラワーズ” と表記させていただくこととする。
試合は、序盤から先行した西軍が78-58で勝利。出場選手の中で最年長の相澤優子(元・シャンソン化粧品など)がMVPに輝き、その他の選手も、体力は衰えていても当時の高度なスキルを発揮する姿は随所に見られた。第4クォーターに息切れしてしまった東軍もそれは同じで、MIPに選ばれた大﨑佑圭(旧姓・間宮)の得点力は現役時代を彷彿とさせるものだったが、本人は特に準備してきたわけではなかったそうだ。
「本当に、日常を過ごして今日ここに来ました。年末にクラブチームでバスケをして、若干の感覚はつかんでたので、そこで気持ちの準備はできてたかなと思います」
2009-10シーズンにサンフラワーズに入団し、常勝軍団で渡嘉敷来夢とツインタワーを形成してきた大﨑。今回の出場選手は大﨑と現役時代が重なっていない人も多く、「初めての人は多かったです」とのこと。チームメートも半数以上が先輩で、自身の入団前にチームを去っていた選手が4人いた。GREATEST 25に選ばれたことに、改めて身が引き締まる思いを感じたようだ。
「ヘッドコーチとしてやっていらっしゃるときに自分が選手だったり、そういう方とは会ったら挨拶する程度だったので、こうして一緒に試合をするのは初めてでドキドキしたし、その中の1人としてできるのは光栄だなって、今日控室に入ったときに思いました。実際に選ばれて、試合するよってお話をいただいたときは、シンプルに嬉しい気持ちだったんですけど、控室に入っていざユニフォームを着るとなったときに、『この人たちの中に入ることができたんだ、これはちょっとただごとじゃないぞ』って(笑)。思ってたよりもこれはすごいことなんだなというのは、今日集合してからその気持ちがどんどん大きくなっていきました」
Wリーグオールスターは、これまでにもOGを集めてエキシビションゲームを開催したことが何度かあり、コロナ禍以降では初開催となった一昨シーズンのオールスターも、大﨑はそのエキシビションゲームに出場している。そのときは、髙田真希(デンソー)の発案を受け、そのシーズンと前シーズンに引退した選手を集めて行われた。つまり、途中でシーズンが打ち切られ、ファンに最後のプレーを披露できなかった選手のために舞台が用意された、いわゆる合同引退試合という側面があったのだ。一度はWリーグの選手登録を外れながら、東京五輪出場の可能性に賭けて日本代表合宿に参加した大﨑にとっても、そのオールスターが現役選手としての明確な区切りだった。