将来の代表を見据える都野&ディマロの若きコンビ
モンデーロヘッドコーチは前半と後半の先発メンバーを入れ替えるなど、様々な組み合わせで試合へ臨む。若き司令塔の都野は、「ゲームコントロールをし過ぎてしまうと迷ってしまうことが多いです。まずは自分が点を取りに行く意識を持ってプレーし、その中で相手を引きつけて、まわりの空いている選手に良いアシストができるように心がけています」と順応している。
都野とディマロのコンビネーションプレーもトヨタ紡織の大きな武器である。「うまくいかないときに、キラさん(※都野のコートネーム)がもっと面を取って欲しいとか、いろいろとアドバイスしてくれます。練習中もコミュニケーションを取って、みんなと一緒にバスケできているので楽しいです」とディマロもWリーグに馴染み、スタッツにも現れている。平均14.5点はリーグ4位、平均16.3本のリバウンドは1位(※1月26日現在)。課題点として、「もっと強くプレーしなければいけない」とディフェンスの向上を挙げた。ディマロはナイジェリア出身。昨夏のパリオリンピックでは決勝トーナメントへ進出し、最終結果は8位。準々決勝で女王アメリカに74-88で敗れたが、最後まで追い上げた魅力的なバスケを見せた。シラ ソハナ ファトー ジャ(デンソー)がセネガル代表に選出された例もあり、母国代表として活躍する留学生が今後は増えて欲しいと願う。明るい未来が待つルーキーは「セネガルでも日本でも、どっちでも良いので代表に選ばれて、オリンピックに出場したい」と欲張る。帰化が先か、セネガル代表に呼ばれるのが先か。かつてスペイン代表を率いたモンデーロヘッドコーチにとっては、一人でも多くの代表選手を輩出することが育成の成果でもある。
昨年はじめて女子日本代表候補選手に選出された都野は、「若い選手だからとかは関係なく、しっかりレベルの高い選手たちに食らいついて、もっともっとレベルアップしていけるように、チームを勝利に導けるようにがんばりたいです」と成長を止めない。2〜3年後を見据えた育成プロジェクトに対し、「選手たちのモチベーションを感じており、トヨタ紡織で指揮を執る幸せも感じている」とモンデーロヘッドコーチは現時点と近い将来の最高点をつなぎ合わせて行く。
Wリーグが再開する2月22日から、4位のENEOSサンフラワーズを迎え、刈谷市体育館でのホームゲーム2連戦。ユナイテッドカップやアウェーゲームでも「サンラビ!」と声を揃えて応援する多くのファンに背中を押されながら、若い選手たちはのびのびと進化の過程を邁進している。
文・写真 泉誠一