14人全員で挑み、練習の成果を発揮してつかんだ初優勝
Wリーグ、皇后杯に次ぐ、女子バスケ3つ目のタイトルとなる「大樹生命 Wリーグユナイテッドカップ 2024-25」が新設された。「初開催なので初代王者を目指したい」とシャンソン化粧品シャンソンVマジックの濱口京子アシスタントコーチは明確な目標を定めて挑む。90年代にリーグ10連覇を果たし、シャンソン黄金期を築いてきた名将・中川文一ヘッドコーチが今シーズンより復帰。しかし、体調不良により今大会は帯同できず、今シーズンの多くは濱口コーチが指揮を執ってきた。昨シーズン限りで引退したばかり、コーチとしてはまだルーキー。変わらぬ仲間たちに寄り添いながら一緒に学び、成長をつなげている。Wリーグ現在3位(13勝9敗)、目下7連勝中と好調のまま、ユナイテッドカップに乗り込んだ。
昨年9月のグループステージからスタートしたユナイテッドカップ。ファイナルステージは5チームで争われる。昨シーズンチャンピオンの富士通レッドウェーブは、スーパーシードでセミファイナルから登場。同2位のデンソー アイリスがいるウエスト・グループステージ勝者(デンソーとトヨタ紡織サンシャインラビッツ)はそのまま4強入り。イースト・グループステージを勝ち抜いたENEOSサンフラワーズとシャンソンは富士通への挑戦権を懸け、1試合多い変則トーナメントが開幕した。
シャンソンの吉田舞衣は、「1年間の時間をかけて積み重ねてきた自分たちのバスケがどこまで通用するか、残りのリーグ戦やプレーオフに向けて、もっともっと改善していくところを見つけるべき大会」と位置づけ、3連勝を目指す。今シーズンはすでにENEOSから3勝(1敗)を奪い、自信みなぎるシャンソンが72-63で初戦を突破。続く富士通はコンディション調整のため、主力3人の欠場が早々に発表された。「相手どうこうよりも、自分たちがやってきたことや大事にしていることをどれだけ明日のコートで体現できるかが大切」と佐藤由璃果キャプテンは自らのスタイルを貫く。イゾジェ ウチェが29点・17リバウンドでペイントエリアを制し、82-69でファイナル進出を決めた。14点と活躍したベンチスタートの白崎みなみは、「もう少しスタートメンバーを休ませることができたら良かったです。そこが悔しかったところです」と述べ、総力戦でタイトル奪取へ向かう。
決勝はデンソー vs シャンソン。1試合多い3連戦のシャンソンにとって、「楽ではなかったですが、濱口コーチの練習ですごく走ってきたので、選手たちはまだまだ大丈夫」と吉田は日頃の取り組みを力に変えた。佐藤も「デンソーは出てくる選手によって、私のところをスイッチしたり、ディフェンスが変わったりしていたので、相手の弱いところを攻めることができました。流れの中でカッティングして合わせ、全員がうまく状況判断できていたので、オフェンスの流れがすごく良かったように感じます」と練習の成果を発揮する。「シャンソンのオフェンスの強みは5人が連動して得点を取りに行くこと」と15点を挙げた吉田は胸を張り、先発もベンチも遜色ない活躍を見せる。決勝では14人全員がコートに立ち、79-63でデンソーに勝利したシャンソンが初代チャンピオンに輝いた。