年末年始の中断期間が明け、Wリーグの2024-25シーズンが再開。皇后杯ファイナルラウンドに進出した8チームにとっては約3週間ぶり、その他の6チームにとっては約1カ月ぶりの試合となった。後者である姫路イーグレッツは、アウェーで東京羽田ヴィッキーズ戦に臨んだが、Wフューチャーで最下位の姫路に対し、東京羽田は優勝争いの主役。GAME1は72-55、GAME2は82-57で東京羽田に軍配が上がり、姫路としては力の差を見せつけられる格好となった。
ただ、最下位に沈んでいる姫路も決してネガティブな状況ではない。シーズン13試合目にして初勝利を挙げた後、中断期間に入る直前には新潟アルビレックスBBラビッツとのGAME1で2勝目ももぎ取っている。東京羽田とのGAME1も立ち上がりは良く、第1クォーター残り3分31秒の時点で8点リードを奪って相手に先にタイムアウトを取らせた。その後は目が覚めた東京羽田を止めることができなかったものの、矢野凪紗も立ち上がりの戦いぶりには手応えを感じていた。
「期間が空いてからの1試合目だったんですけど、出だしはいつもより良くて、ディフェンスからオフェンスにつなげられるプレーがいっぱいありました。でも、1個のミスから崩れた流れを取り戻すことができなくて、それが負けにつながったと思います。羽田さんはディナイが強くて、前の3試合はオフェンスでボールが回らないことが多かったんですけど、今回はボールを回してシュートにつなげる私たちのオフェンスがよくできたと思います。身長は羽田さんのほうが大きいので、リバウンドでセカンドチャンスを与えてしまった。そこを抑えれば、点差を縮めることもできたのかなと思います」
加えて矢野は、「羽田さんはフューチャーの中でも上のチームなので、私たちは立ち向かうことしかできない。相手に点数が入っても誰も下を向くことなく、次、次って試合を進められたのは良かったと思います」とチーム全体の戦う姿勢にもポジティブなものを感じていた。その中で、矢野がコートに立ったのは5分32秒。シュートは1本も打たず、残したスタッツは1アシストだけだった。コートに立った矢野は、とにかくチームのために動くことだけを考えてプレーした。
「私に求められてるのが3ポイントで、周りからも『打て』と言われるんですけど、今日はミスせずにボールをつなぐことを意識してプレーしました。自分の強みはリバウンドなんですけど、そこはあまり生かせなくて、高さがある相手に対してもリバウンドを取りにいくことがもう少しできればと思いました」
そもそも矢野は、この日が今シーズン2試合目の出場だった。ルーキーだった一昨シーズンはスターターを務めながら、故障でシーズン半ばにリタイア。復帰した昨シーズンも序盤に再び負傷し、出場は3試合にとどまっている。今シーズン初出場を果たしたのは、中断期間直前の新潟戦GAME2。ベンチには入り続けていたものの、それまでのリーグ戦15試合はチームメートの奮闘をただ見守ることしかできなかった。もどかしい想いはあったはずだが、初勝利を挙げた試合は素直に勝利を喜んだという。
「自分が試合に出られていないことはわかってたんですけど、『試合に出ていたらな』という気持ちもなくはなかったです。1%、2%くらいは、自分がコートに立って貢献したかったなという気持ちもありました。でも、あれはみんなが頑張ってきてつかんだ1勝。純粋に嬉しかったです」