高橋自身、このシャンソン化粧品戦も32分16秒に出場し、3ポイント7本中4本成功でチームハイの18得点。敗れた中でも、自身の戦う姿勢には納得している様子だった。
「3ポイントは全部決めたいんですけど、それはやっぱり難しいし、今日はよく決めたなという感覚はあります。受け身でプレーしていたらいけるところまでいけないと思うし、挑戦しないと戦っていけない。そういう気持ちを持って試合に臨めたかなと思うし、しっかり戦いにいくことはできたと思います」
「全員が試合に出られるとは限らないので、スタートで出てる自分は何をやればみんなに納得してもらえるかを考えている」という高橋は、主力としての責任感だけでなく、地元・秋田県出身者としての責任も持ち合わせる。大阪人間科学大3年時に、アランマーレ秋田のWリーグ参入が発表されたことは、高橋のバスケット人生を変える出来事だった。
「大学の後は秋田に戻ってバスケを続けられたらいいなと思ってて、秋田銀行という選択肢もあったんですけど、自分が次に進むことを考えるタイミングでアランマーレができて、本当にタイミングが良かったなと思います。それまでは、Wリーグでプレーしたいというのは考えてなかったです」
その後、チームは専用練習場を持ち、今年度からは選手が仕事と掛け持ちする必要がなくなった。バスケットに専念できる環境が整ってきたことで、勝利を追求する使命感はより強くなっているところだ。
「バスケをする時間も1日の半分しかないので、本当に忙しかったです。今シーズンは1日中バスケに取り組める環境ができたので、バスケに打ち込める、バスケのことだけを考える時間ができた。本当に良い環境にしてもらったなと思います。今までで一番良い環境で、それは周りの人たちが頑張ってくれてるということなので、あとは自分たちが頑張るだけという話はチーム内でもしてます」
個人としても「うまくいかない日もある」というように、チームも勝つ日もあれば負ける日もある。それは応援する側も理解していることだが、実際にプレーする立場としては、白星こそが最もわかりやすい恩返しの形。プロとして、高橋はひたむきに勝利を目指す。
「大前提として、プレミアに昇格するというチームの目標はあるんですけど、そこだけ見てもうまくいかないと思うし、目の前の1戦1戦、1つずつのプレーを積み重ねることが結果につながるので、まずは目の前のことを一生懸命やりたいと思います。アウェーのときでもオレンジを着て応援してくれるファンがいるので、その分本当に勝ちたいんですけど、まだそれができてない。『結果だけが全てじゃない』という声もかけていただけるんですけど、でもやっぱり私は『結果が全て』だと思ってるので、勝ちたいです。勝つことで『ありがとうございます』の気持ちを伝えられるように、次に向けて頑張ります」
文 吉川哲彦
写真 鈴木真人