そもそも濱西は「ベンチから出るのは得意なほう」と自認し、「スタートで出ると外からの客観的な視野がなくなるし、ベンチから見ることで落ち着いて試合に入れるというのもあるので、気負うことなくワクワクしながらコートに立ててます」とメンタル面にも波及しているようだが、チーム全体としても今シーズンはタイムシェアに取り組み、全員が戦力となっていることから、“全員バスケット” を体現する上で濱西もその歯車の1つとなり、局面に応じた仕事を担おうとしている。
「自分たちは今ケガ人がいなくて、全員がプレーできてるのもタイムシェアの影響かなと感じます。誰が出ても良いパフォーマンスができるように準備しておくというのは、今までもそうだったんですけど、後半戦になるにつれてもっと大事になってくると思うので、役割の大切さは1人ひとりが強く感じないといけないし、HCから求められてることを表現するのは全員がやっていくべきこと。個人としてはリングにアタックすることを課題に挙げながら、スタートでもベンチでもやることは変わらないと思いますし、誰でもできるディフェンスやルーズボール、声かけとか、みんなが当たり前にできることを誰よりも頑張りたいです。チームが苦しいときに求められるプレーヤーでありたい。もしかしたら点を取りにいってほしいと言われるかもしれないし、ディフェンス頑張ってほしいと言われるかもしれない。試合ごとに役割は違うと思ってるので、求められたことを必ず表現できる、期待に応えられるプレーを思いきってやっていきたいです」
バスケットに打ち込んでいれば、そのキャリアの途中に岐路は必ず訪れる。そこでどの道を選択するかによってキャリアも異なったものになるわけだが、たとえどの道であろうと、壁にぶつかることや思いがけない事態に直面することはある。そんなときは、はたしてこれが正しい選択だったのだろうかと自問自答することだってあるはずだ。しかし、後に振り返ればそんな経験も全て今に結びついているのだということに気づく。まだ26歳の濱西がその境地に達しているのは、おそらく山梨クィーンビーズというチームにたどり着くことができたからなのではないか。
「ここまでバスケットをやってきてると、『この道、間違えたかな』と思うことって絶対にあるんですよ。でも、その道を進んでなかったら今ここにいられなかったと思うと、今までの経験は無駄じゃなかったし、乗り越えてきたから今こうやってWリーグという舞台でプレーできてる。バスケットを続けられてるのは今まで関わってきた全ての人のおかげだと思うし、この道を進んできたから今があるって自信を持って言えるので、山梨でバスケットをしてることに誇りを持ってプレーしないといけないなって、自分に少し良いプレッシャーをかけながらバスケットできてます」
そう思えるのは、やはり周囲の人に対する感謝の念があるからだ。恩返ししたい気持ちが濱西を突き動かす原動力となっているのは、山梨が地域に根差したクラブ型チームだからこそと言っていい。