三菱電機といえば、2018-19シーズンにはファイナルまで勝ち進み、一昨シーズンもレギュラーシーズン3位という実績を持つが、昨シーズンは西岡里沙というインサイドの絶対的支柱が引退した影響が大きかったのか、9位にまで下降。2ディビジョン制に戻った今シーズンはWフューチャーに属することとなってしまった。永井にとっても悔やまれることだったに違いないが、今シーズン既に3敗を喫していることも含め、現実から逃げることなく向き合い、前に進むことにフォーカスしているという。
「もちろん上でやりたかったという気持ちはあるんですけど、現状をしっかり受け止めて、今シーズン昇格できるようにということはチームでも話し合ってるので、自分たちがやるしかないと思ってます。1試合1試合が大事になってくるし、どんな試合でも勝ちきらないといけない。3つ落としちゃったんですけど、それも自分たちを見つめ直すきっかけというか、良くなっていくためのきっかけにもなるので、前を向いてやっていこうという話もみんなでしてます」
全25試合中14試合を消化し、リーグ戦は早くも折り返し地点を過ぎた。三菱電機がWプレミア昇格を目指す上で、永井の存在はここからさらに欠かせないものとなっていくだろう。チームの主力として、永井自身にもその自覚と自信はあり、何をすべきかということもわかっている。
「ディフェンスとか泥臭いプレーが自分の持ち味だと思っていて、そこは3番で出ても4番で出ても変わらないところなので、まずは自分が引っ張るくらいのアグレッシブさを持って攻めのディフェンスをやり続けること。あとは、チームで戦ってる以上は味方のカバーもすること、互いにカバーし合えることも自分は大事にしてます。相手がガードでもフォワードでもインサイドでもディフェンスにつけるという自信はあるので、個人の1対1のディフェンスだけじゃなくヘルプも意識して、もっと自信を持ってやっていきたいです。オフェンスはコーチからももっと積極的に、チャンスがあったらどんどん狙っていいと言われてるし、そこが今の自分の課題でもあるので、得点でも積極的なプレーで貢献していきたいなと思います」
永井は、2017年に大阪桐蔭高がウインターカップを制した際のエースだが、そこでコーチを務めていたのが父・雅彦氏。かつて松下電器という名門でプレーした元日本代表選手でもあるとなれば、今もその父からアドバイスを貰うこともありそうなものだが、「あまり話さないっていうか(笑)、バスケの話をするかって言われたらあまりしなくて……こういうプレーをしろとか、そういうことは言われないです。自分のできることをやれるチャンスがあるんだったら積極的にやりな、っていうくらいですかね」と父は温かく見守っているようだ。そんな父の言葉通りに積極性を意識する永井のプレーは、攻守にわたって三菱電機を勢いづける材料となり得る。
文・写真 吉川哲彦