初の全試合先発出場で主力として活躍できているからこそ成長を実感
富士通との2戦目で奥山は24得点と活躍。唯一勝利を挙げたアイシン戦では、窪田が29点をマークするなど得点力あるタレントが多い。昨シーズンと比較し、奥山(9.2点→15.3点)、中野由希(7.2点→11.4点)、窪田(6.1点→8.9点)、森岡ほのか(6.6点→8.1点)が、レギュラーシーズンにおけるキャリアハイを更新中だ。奥山も仲間たちの存在が頼もしい。
「ヒデさんも選手の特徴を生かしたセットを考えてくれているので、それぞれの長所を出せるかどうかが本当に大事です。1人ひとりの特長を生かしたプレーを組んだときに、しっかりシュートを決め切る精度はもっとがんばっていかなければいけないです」
新指揮官の下、「リーグ戦に入ってから試合で積み重ねている感じがすごく強いです」と、急ピッチでチーム力向上に勤しんでいる。週末2連戦において、異なるパフォーマンスを見せる不安定さも否めない。1試合の中でも乱高下して勝ち切れなかったことも多く、「大事な時間にどれだけ落ち着いて、自分たちのオフェンスができるか。そこを改善し、乗り超えていかなければいけないです」と6年目の奥山が、キャプテンの船生やサブキャプテンの関ななみとともにリーダーシップを発揮する。
富士通戦では、ENEOSサンフラワーズ時代の先輩である宮澤夕貴とマッチアップし、「オフェンスでは負けたくないと思っていました」と奥山は強気で挑み、1戦目は1点、2戦目は2点、それぞれ個人得点で上回った。一方、ディフェンスでは「気持ちでがんばっていましたが、スイッチした後のポストプレーでやられてしまったのが悔しいです」とチームで守り切らねばならなかった。これまでの5シーズンとは打って変わって、奥山にとっては初となる全試合先発出場が続いている。柏倉ヘッドコーチから「点数を獲ることやリバウンドには積極的に行くように言われているので、プレーしやすさは感じています」と長所を発揮。チームの主力として、ENEOS時代の先輩と対戦できたからこそ成長を実感でき、チャンピオンチームで得た経験を還元する。
「目の前の試合に自分たちが120%の力を出して戦い、ひとつでも多く勝っていくことが大事です。1巡目は終わってしまいましたが全然あきらめていないですし、まずは自分たちがやるべきことをしっかり出していけるようにがんばっていきます」
前半の14試合を終えたリーグ戦は中断し、今週末に開催される皇后杯2次ラウンドにWリーグ全14チームが登場する。日立ハイテクは愛媛県松山市で、フューチャー首位の三菱電機 コアラーズと11勝3敗タイで並ぶ、2位の東京羽田ヴィッキーズと同じ山。8つのトーナメントを制したチームが皇后杯ファイナルラウンドへ進むが、プレミアに属する8チームにとっては負けられない。勝利から遠のいている日立ハイテクにとっては、好転するきっかけをつかむチャンスにしたい。
文・写真 泉誠一