今シーズンの姫路において、2番ポジションの御子柴は得点源としての働きを期待されている。20得点超えはこの新潟戦が今シーズン3試合目で、1試合平均得点も第6週終了時点でチーム唯一の2ケタとなる13.9点。加入2シーズン目にして自身に回ってきたその役目を、御子柴は正面から受け止め、成長につなげようとしている。
「点を取るということも役割として言われてるので、これは続けていきたいですけど、今日も自分のところで集中力が切れてミスというのも何回もあったし、最後のオフェンスで自分でフィニッシュにいかずにボールを離しちゃったというのもあったので、まだまだ足りないところもたくさんある。これからもっと良くなるように、これに満足しないように、最後まで自分の役割から逃げずに頑張っていきたいと思います」
得点源といえば、一昨シーズンはリーグ得点王も獲った白崎みなみ、昨シーズンは石牧葵という絶対的なスコアラーが姫路にはいた。その2人はいずれも引き抜かれるような形で上位チームに移籍。今の姫路には、例えば学生時代に強豪校のエース格だったというような、エリートコースを歩んできた選手はいない。しかし、そんなチームだからこそリーグ内で示すことのできる価値は必ずあり、その想いは御子柴にもある。
「スーパースターがいないチームだということは自分たちもわかってるし、そういうチームでも自分の役割とかチームのルールを徹底することをちゃんと意識してやっていけば勝てる。バスケットってそういうチームスポーツだと思うので、自分たちはそういうチームになれるようにって思ってます。特にディフェンスのチーム力、チームルールの理解と徹底をみんなでやっていかないといけない」
御子柴はルーキーだった昨シーズンもリーグ戦全試合出場を果たしているが、1試合平均出場時間は7分余りにすぎなかった。第6週までの12試合全てスターターで出場している今シーズンは、合計出場時間が既に昨シーズンの倍に達している。それに比例して、チームを背負う責任感も強くなっているところだ。
「やっぱりプレータイムというのは責任だと思うし、コーチからの信頼だと思うので、プレータイムを貰ってるからこそ練習でも試合でも一番頑張らないといけない。自分は試合に出られなかった時間を知ってるから、今一番プレータイムを貰ってる人がチームとしてやるべきこと、頑張るところを周りに見せるべきだと思います。『なんでこいつが試合に出てるんだ?』って思われたらそのチームは終わり。自分はそういう立場だと思うから、これからも自分のプレータイムにもっと責任を持ってやっていきたいです」
満足できる出場時間を得られなかった昨シーズンの経験をバネに、大きな飛躍を遂げている今シーズン。それがチームの勝利に結びつくまで、自身の成長を止めようとはしないだろう。姫路は第6週を終えた時点でも未だ白星に恵まれていないが、御子柴は1人の選手として這い上がることができた。今度は、その姿勢とアグレッシブなプレーでチームを這い上がらせる番だ。
文・写真 吉川哲彦