6チームで構成されるWリーグフューチャーは第5週で対戦が一巡し、この時点で東京羽田ヴィッキーズと三菱電機コアラーズが8勝2敗で並走。その一方で、開幕10連敗と唯一白星に見放されていたのが姫路イーグレッツだ。2ディビジョン制となったことで他チームが勝率を上げている中、姫路だけが苦しんでいるという印象を受ける。
第6週から2巡目の対戦に入ったが、この第6週と第7週はそれぞれ1日目と2日目で対戦相手を入れ替えるという、かつて採用されていたフォーマットが復活した。第6週1日目の姫路の相手は、新潟アルビレックスBBラビッツ。Wリーグに参入した一昨シーズン、姫路はわずか星1つの差とはいえ新潟を上回り、最下位を免れている。開幕週に連敗した相手に一矢報い、転機にしたいところだった。
結果から言うと、スコアは62-63。たった1点及ばず、姫路は敗れてしまった。御子柴百香が「試合の入りで自分たちの用意していたディフェンスができなくて、スタートダッシュで点差をつけられたのが最後まで響いたと思います。試合の入りは、これからも課題になると思います」と振り返ったように、第1クォーターで12-29と大きなビハインドを背負ってしまったのが何よりも痛かった。
ただ、第2クォーターは9失点とディフェンスを立て直し、第3クォーターは粘り強いディフェンスがオフェンスにも良い影響を与えて22得点。この時点で1点差に迫り、第4クォーター開始早々には逆転にも成功した。後半の20分間は突き放されそうになっても、その都度食らいついて流れを引き戻した。それだけに第1クォーターの17点差が悔やまれるが、「1ピリが終わったところでもう1回、徹底するところをベンチでも話して、コートの中でも話し合うことができたので、みんなで共通認識を持ってプレーできたのが、良くなったきっかけかなと思います」(御子柴)と試合中の早い段階でしっかり改善できたことが接戦の展開を生んだ。
そこに至るには、選手たちのハッスルが大前提となる。大量ビハインドの状況で下を向き、心が折れてしまっては、追いすがるどころか一方的な展開にもなりかねない。そうならなかったのは、選手たちが諦めることなく戦い続けたからだ。御子柴によると、新任の天日謙作ヘッドコーチが選手たちのモチベーションを高めようと、常に声をかけているそうだ。
「負けが続いて、自分たちの気持ちが落ちちゃっても、天日さんが練習に来るたびに『どんどん良くなってるから』と言ってくれてて。リーグ1巡目が終わって、自分たちにもそういうメンタルがついてきて、『もっと良くなっていこう』ってチーム全体で思えてるから、今日みたいな状況でもなんとかしようって自分たちで考えて、頭も使ってプレーできてるのかなって思います」
ひたむきにプレーし続け、それが最も数字に表れたのが御子柴だった。チーム最長の36分56秒出場で、3ポイント4本を含む29得点。常に得点を狙い、リバウンドにも果敢に飛び込んだ。先頭に立ってオフェンスを引っ張る姿は、フロアリーダーとしての風格すら感じさせるものだった。大卒2年目とまだ若い御子柴は、「勝つのももちろん大事」と言う一方で、自身が成長し続けることを念頭に置き、目の前にそのチャンスがあるということを意識しながらプレーしているという。
「シュートタッチは良かったですし、これを言ったら良くないかもしれないですけど、気持ちとしてはあまり勝ちにこだわらず、ここは成長できるところ、ここで上手くなれるっていうメンタルで試合中もプレーできてたから、力が入らずにリラックスしてできたかなって思ってます」