「昨シーズン中に出た課題に今から取り組めていて、リバウンドとかヘルプディフェンスとか、去年の今頃はできてなかったことが今年できてるので、今までよりも早くチームが一つになっていけてると思います。ディフェンスの強度と淀みないオフェンスは体現できてると思うので、開幕に向けて良い準備ができてると思います」(津村)
また、昨シーズンがWプレミアとWフューチャーに振り分けるシーズンでもあったことで「それを意識して余計な力が入ったのも良くなかった」と振り返る津村は、「今シーズンは1人ひとりが周りを見て、肩の力を抜いてプレーしようということを選手みんなでも話しました」とメンタル面にもフォーカスしていることを証言。しばしば観戦に訪れる姉から「プレーに気持ちが出る。やる気ないときは、見ててわかるよ」と言われたという津村自身、「いつ試合に出ても同じプレーができるように、波がないように。たぶんそれをオーさん(萩原HC)も求めてると思います」と平常心と安定感を心がける。
10月12・13日、山梨クィーンビーズをホームに迎えての開幕週を、東京羽田は連勝で飾った。山梨を相手に連勝したのは2018-19シーズン以来。その後は昨シーズンまで、コロナ禍で東西に分かれて対戦のなかった2020-21シーズンを除き、全て1勝1敗だった。まだ対戦は3試合残っているとはいえ、接戦の多かった相手にしっかり勝ちきり、良いスタートを切ることができた。
「練習でやってきたことが出せたし、開幕戦なのでもっと力みが出るかなと思ってたんですけど、自分たちがやるべきことに対してフォーカスできてました。自分たちにプレッシャーをかけちゃダメだということは学びました(笑)」(津村)
津村自身は第2戦で7分5秒の出場にとどまり、無得点に終わっているが、チームとしてターンオーバーを極力減らすため、萩原HCが選手交代をシビアに判断していると津村も理解し、「自分でも何が良くなかったかがわかるから、しょうがない、チームが勝てばいいと思ってます。そんな日もあります」と引きずっていない様子だった。何より、チーム全体に成長を感じられたことが一番の収穫。この日は第1クォーターに得た11点のリードを前半のうちに追いつかれてしまったが、第3クォーター中盤の3ポイントラッシュが効いた。「昨日も後半の出だしに8-0のランで1点差まで詰められて、以前はそこで慌ててしまってたんですけど、どちらも抜け出せない時間帯を昨日も今日も我慢して、先に抜け出せるようになった。自分たちのやることをやっていれば大丈夫」と、メンタル面の変化も感じ取れる試合内容だった。
昨シーズンの課題と向き合い、乗り越えようとしている萩原体制4シーズン目。東京羽田には、大きなチャンスが待ち受けている。
東京羽田ヴィッキーズ
苦悩を糧に、進化のシーズンへ
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文・写真 吉川哲彦