しかし、東京羽田は思わぬ壁に当たる。富士通に連敗を喫した後、3週連続となるホームゲームで迎えたのは新潟。第1戦は88-44のダブルスコアで圧勝したが、第2戦は序盤からリードを許す展開のまま、結局最後まで追いつくことができなかった。直近の数シーズンで最下位が定位置になっていた新潟に敗れたことは、その後に影を落とすことになる。
この時点で顕著に表れていた課題が、立ち上がりの悪さだ。新潟との第1戦も最終的にダブルスコアだったとはいえ、第1クォーターにスタートダッシュをかけることはできなかった。翌シーズンの1部(プレミア)入りもかかっているとあって、選手たちが重荷を背負ってしまっているのではないかと萩原HCは言う。
「相手のシュートが入らなかっただけで、出だしのディフェンスのエネルギーはなかったし、危ないと思う場面もあった。サボってるわけじゃないんですけど、ちょっと構えすぎてるのかなって。今シーズンは特に『勝たなきゃ』というのがあるので、プレッシャーはあるんだろうなと思います。
初めから相手の心を折るような、本当の強さを身につけようという話もしてるんですけど、なかなか難しい。やる前からプレッシャーを感じないように、まずは目の前のプレーに集中すること。そのマインドになるために私がどういう言葉をかければいいのか、それを探していかないといけないですね」
アイシンとトヨタ自動車にそれぞれ連敗して迎えた皇后杯でも、初戦の筑波大学戦こそ序盤に背負ったビハインドを挽回したものの、翌日の白鷗大学戦は劣勢を跳ね返せないまま敗れ、ファイナルラウンドに進むことはできなかった。白鷗大は夏の練習試合で勝った相手だが、後にアーリーエントリーで4人がWリーグデビューするなど、実力はWリーグにも引けを取らないレベル。前日に日立ハイテクを破っており、Wリーグ2チームを撃破した勢いで、直後のインカレを制覇している。手強い相手であったことは確かだが、新潟戦の敗戦を引きずった東京羽田は練習の雰囲気が良くなかったということを、そして、「大学勢に負けちゃいけない」とまた自分たちにプレッシャーをかけてしまっていたことを、萩原HCと津村は認めている。
皇后杯の翌週、三菱電機との第2戦でリーグ戦の連敗を止めることはできたが、皇后杯を制して大田区総合体育館に乗り込んできたデンソーには再び連敗。それも、第1戦が46得点、第2戦が38得点とオフェンスが沈黙してしまった。そして、年明けの日立ハイテク戦は連勝を期して臨んだが、第1戦はわずか1点及ばず、第2戦も接戦には持ち込んだものの7点差で屈する結果となった。この時点で、プレーオフ進出と翌シーズンのWプレミア入りはかなり厳しい状況に。ここから2月下旬までのリーグ戦中断期間を挟み、残るは8試合。モチベーションの維持が難しくなるところだが、3月に組まれた最後の6試合は全て大田区総合体育館でのホームゲーム。ファンのためにも、東京羽田は最後まで戦い続けなければならなかった。
文・写真 吉川哲彦