2015-16シーズン以来となるプレーオフ進出を果たし、昨シーズンのアイシンウィングスは吉田亜沙美と飯島早紀、野口さくらの3人を移籍で迎え入れた成果を挙げた。セミクォーターファイナル敗退だったとはいえ、シャンソン化粧品に先行されながらも試合終盤に2点差まで迫り、一昨シーズンまでのチームから一皮むけた印象が強い。
今シーズンは、飯島がWKBLに新設されたアジアクォーター制でドラフト指名を受けてチームを去ることになり、吉田の去就もまだ明らかになっていないが、アイシンは吉田を現役復帰させた昨シーズンに続くビッグサプライズを敢行した。14シーズンの長きにわたってENEOSの中軸を担った、渡嘉敷来夢と岡本彩也花の獲得である。
7月のWリーグサマーキャンプでは、昨シーズンの吉田がそうだったように、渡嘉敷と岡本もベンチ入りはしたが、試合には出場していない。野口も、オリンピック内定選手には入れなかったものの、その後も日本代表チームに帯同したため、アイシンは実質8人、そのほとんどが20代前半という若手主体のメンバー構成で3試合を戦った。
昨シーズンは出場した21試合全てでスターターを務め、キャプテンとしてチームを引っ張った酒井彩等も、この3試合は一貫してベンチスタート。ただ、8人しかいないこともあって出場時間は少なくなく、2日目のプレステージ・インターナショナル アランマーレ戦は競った展開だったことで約25分、3日目のデンソー戦は約28分コートに立っている。チーム作りの過程で臨むサマーキャンプにおいては、酒井に求められる役割も大きな意味を持ってくる。
「人数が揃ってない状態で、若手も多い中で、経験としては良い3日間だったなと思ってます。自分自身は、まだ体ができてない状態だとしても、梅嵜(英毅ヘッドコーチ)さんのバスケが3年目なので、若い子たちにそれを伝えるためにまず声だけはコートの外でも中でも出そうという意識でした」
昨シーズン吉田がチームに加わったことは、同じポイントガードである酒井にとっては尚のこと大きな出来事だった。日本バスケット界の歴史に残る名選手とチームメートになったこと、ENEOSを幾度も優勝に導いたガードのメンタリティーを学んだことは、この上ない財産となっている。
「小さい頃からバスケをやってる中で、一番尊敬してる憧れの選手と一緒にバスケできるということがまず楽しくて、また、一声、一動作でチームが変わるというのを体感して、本当にすごいなと思って、少しでも近づけるようにと思ってやってました。
ガードとして、去年はまだチームの中心としてプレーしてたので、ラストショットは自分でもっていく、それが入っても外れても関係ない、そこを自分で責任を取ることが大事、というのはすごく印象に残ってます」
そして今シーズンは、渡嘉敷と岡本が加わった。桜花学園高という屈指の名門校出身である点は同じで、酒井はそこにミニバスと中学の全国制覇という経歴も加わるが、Wリーグでの実績となれば、2人はリーグ内でも他の追随を許さないレベル。吉田に学んだ昨シーズンに引き続き、強豪チームとなるために必要なものを吸収していかなければならないと考えている。